新しいビジネスモデルを考えるなら、ぜひ知っておきたい「ビジネスの性質」その1 〜IT篇〜

   

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今と同じ業界で、これまでとさほど変わらないビジネスを進めるのであれば、このお話は無視して下さい。しかし、同じ業界=市場であっても、別の業界の要素を取り入れるのであれば、ぜひ押さえておいて頂きたいことがあります。
それが業界別のビジネスの性質です。

第1回目はITです。

 

IT業界が持つ特性

プレイヤー別に見るリスクとメリット

システムの世界では、次の3つのプレイヤーがいます。

1) 純粋なシステム開発
→ 企業や官庁から依頼を受けて、ニーズ毎に一から作りこむ
WEBサイト製作もここに入ります。

2) パッケージ・アプリ販売

先行投資を行ない、パッケージ商品を販売し、投資を回収(スマホのゲームアプリや会計ソフトなどのほか、組み込み系などもここに入ります)

3) フェーズ別プレイヤー

上流工程=コンサルティングや開発後の運用やメンテナンスなど
フェーズ別の作業を専門で行なうプレイヤー。

 

1が持つリスクは、顧客との要件調整です。
費用を睨みながら、どうやって顧客のリクエストに答えていくか。1つ間違えれば、大きな赤字を抱える危険性を持っています。

一方で、基幹業務など事業の根幹部分にあたる開発を請け負えば、いわゆる顧客内シェアをほぼすべて握ることができるため、追加開発、開発後のメンテナンスなど、その顧客から発生するIT関係の売上を獲得できるチャンスがあります。

2が持つリスクは、「読みが外れること」。つまり、それほど売れないということです。結果、投資の回収ができません。
ITの世界は日進月歩の激しい世界。顧客ニーズは劇的に変化し続けます。

1の開発とは違い、個別のニーズに合わせなければならない場合、パッケージ費用とは別に大きな請求が発生する恐れがあり、商談が進まないリスクがあります。

メリットは、「売り切り」ができること。
1の場合は、開発してそのままとは行きませんが、パッケージの場合、ある程度こなれた商品であれば、売り切る(メンテンナスなどアフターフォローが不要)ことが可能です。結果、人件費を固定化でき、高い利益を確保できるチャンスがあります。

3のリスクは、前後のフェーズの影響を受けやすいことでしょう。簡単に言えば、「責任の範囲」です。自社ですべてを請け負う1とは異なり、他社が別フェーズを持っているため、トラブル時の調整がかなりたいへんです。

メリットは、自社のやる範囲が決まっているため、複数案件を並行で動かしやすいことです。また、その分ノウハウもたまりやすいでしょう。件数を多くこなしていくことで、熟練度が増し、利益率や回転率を引き上げていけるチャンスが生まれます。

IT固有の特性

プレイヤーが持つリスクとメリットとは別に、業界ならでは性質があります。それが、技術革新です。

他の業界も相応のスピードで変化しますが、ITほどではないでしょう。ある程度予測が可能で、その変化に対する準備時間も取れるはずです。

家電業界が比較的早いですが、ITとは異なりその仕様(たとえば4Kテレビ)などが市場に浸透し、認知されるまでにかなり時間を要します。モノによっては、浸透せず市場から退場するものも結構あります。しかし、ITの場合、ある日突然スタンダードが変わる、ということがままあります。

もしくは、想像以上のスピードでそれまでの常識や使っていたものが別のものに置き換わることも頻繁にあります。記憶に新しいところでは、ガラケー→スマホやYAHOO→GOOGLE、楽天→Amazonなどです。

いつの間にかそうなっていた、そんな感じではありませんか?
切り替わっていく切れ目がよくわからない。それぐらい早いのです。

とはいえ、この変化の速さには、他の業界にはないもう1つの側面を持っています。それが、「勝ち続けることが難しい」ことです。さきほどの家電の場合、冷蔵庫で日立や三菱を抜くことはまず無理です。

しかし、ITの世界の場合、新技術が絶え間なく出続けるため、たとえグーグルであっても、いつ転落するかわからないのです。例えば、今なら「金融サービス(フィンテック)」「VR(仮想現実)」「ロボットテクノロジー」「人工知能」といった分野がそうでしょう。

グーグルを始めとした世界企業は例外なく、こうした新分野へ大規模なM&Aや研究開発費を投じ続けます。それこそがいつ敗者になるかわからない恐れがある証拠です。

ネガティブに聞こえたかもしれませんが、このことを反対に考えるといつでも誰にでも「逆転」のチャンスがある、ということです。

これは、農業や漁業など1次産業では考えられないことです。
また製造業や建設業など2次産業も同様でしょう。いまさら清水建設を抜き去ることは間違いなく無理です。つまり、先行者がすべてを牛耳ることができない、それがITの世界です

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