フレームワーク

事例やヒント集を元に、「これはいけそうだ!」と思ったらぜひ、これからご紹介する設計方法を読み進めながら、アイデアを具体化し、莫大な利益を実現して下さい。

設計には次のフォーマットを使います。

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このフォーマットの特徴

このフォーマットを埋め込むことで、新しいビジネスモデルについて、次のようなことがチェックできます。

1)顧客の課題に対して、適切な付加価値が提供できているか
2)提供する付加価値に対して、自社が得る対価は何か
3)ビジネスモデル全体として機能しているか

などです。
こうした点を具体的に落としこんでおくことで、新しいビジネスモデルがきちんと利益を生み出してくれるかどうかが明らかになります。

少々長い記事ですが、今、新しいビジネスモデルを考えているなら、ぜひ、最後までお読み下さい。

では、早速参りましょう。

1.顧客

まず、最初に決めるのはもちろん「顧客」からです。
プロファイル、利用シーン、課題の3つを洗い出します。

プロファイル)
どこに住み、どんな生活をしている人なのか。例えば、

1) 年齢
2) 性別
3) 職業
4) 収入
5) 既婚・未婚
6) 居住エリア
7) 趣味
8) 休日の過ごし方
9) 関心事

などをざっと洗い出します。

例)30代男性、4人家族、会社員、年収700万円、江東区に住み休日は家族と出かけることが多い

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プロフィールを設定したら、次はこの人の生活の一部を切り取ります。

利用シーン)
例えば、家族とドライブに出かけるときとしましょう。
4人家族ですから、車種は少し大きめのワゴンタイプでしょうか。

家族と出かけるときに気になるのは、何でしょうか?
そうです。いわずもがな、「お金」ですね。
ガソリン代も安くはありません。
出掛けたいとは思うが、できるだけお金を掛けたくない。
そういう課題があります。

お金が勿体ないなら、出掛けなければいいのでは?
という選択肢はさすがにないでしょう。1回や2回は許されても常に出掛けない。家にいるのであれば、お父さんの立場はありません。(ご経験済みの方も多いでしょう)

つまり、出掛けたいけど、極力お金を掛けたくない。
こうしたジレンマが存在するということです。
ここにどのような課題解決を提供できるか、です。

2.提供物

2つめの枠、【提供物】を考えていきます。
家族と一緒に出掛けたいけど、極力お金を使いたくない。
このような家族向けにどんな課題解決ができるのか。
この点こそがビジネスモデルの核の1つです。

提供物とはまさに「付加価値」のことです。
さきほどのような課題を抱えている家族に向けてどんな価値が提供できるか。

お金を掛けたくない、のですから「安く車を提供する」が付加価値の1つです。安く車を提供するためにはどんな方法が考えられるか。

2−1.既存の方法をアレンジする

ここで重要となる視点があります。
それは、既存の方法を「アレンジ」することです。
いまどき、ビジネス化されていないことを見つけるのは至難の技です。また、革命的な方法を探すのも、大きな時間とコストを要します。いずれも中小企業や個人事業主には不向きです。

そこで、アレンジなのです。
まずは、すでにある「車の提供方法」を洗い出しましょう。

・カーシェアリング
・中古車販売
・レンタカー

などでしょうか。

この中で、どれを選ぶか。
すでに十分「安く提供できているもの」は当然除外です。
カーシェアリングはそもそも低価格を実現したものですし、中古車市場も十分安さを実現しています。いまさら後発で参入しても厳しいでしょう。
となると、残るのはレンタカー。

レンタカーを安く提供することはできないだろうか。

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この観点から生み出されたのが、価格を均一化するビジネスモデルご紹介した100円レンタカーです。従来のレンタカーのように時間単位ではなく、10分単位で課金するレンタカーサービスです。

さきほどの家族が、3時間や6時間単位ではなく、使った分だけになる「従量課金」がいいなと考えているとすれば、ドンピシャです。間違いなく既存のレンタカーよりもかかる費用を抑えることができます。

費用を安く済ませることができる。
これがそのまま利用者の一番下「対価」になります。

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2−2.参入障壁を考えておく

提供方法が絞られたら、合わせて参入障壁も検討しておいて下さい。大切なポイントは「いずれ参入される」ということ。
自社を競合の立場に置き換えて、このビジネスに対してどうすれば参入できるかを考えておきます。例えば、

1) 全く同じ手法を使う

例のように100円レンタカーであれば、同じように100円レンタカーを展開する。大企業が市場を席巻するときによく使う手法です。

2) 少しアレンジする

既存のレンタカーに対して、100円レンタカーが生み出されたように100円レンタカーに対して、アレンジする方法です。
例えば、「1分単位」にする。管理面で手間がかかる恐れがありますが、アイデアとしては検討の余地アリです。ただし、先行した100円レンタカーのイメージが強いため、1分単位の訴求力は弱いでしょう。

むしろ、「100円」の部分ではなく、レンタカーの部分を置き換え、カーシェアリングなど別の手法に当てはめるほうが効果的です。

これ以外にももちろん考えられるでしょう。
自社が競合だったらどうするか。これを考えておくことで、対策を立てることができるのです。

3.自社の対価

利用者の対価と同時に、【自社の対価】を記載しましょう。
もっとも多いのは【売上】ですよね。
売上以外にも、

・顧客情報
・集客力

なども考えられます。
直接的な売上高を狙うのではなく、利用者のデータを取得する。
これを元に、【レポート化】して自動車メーカーに販売する。これも【対価】です。

安いレンタカーを目当てに集まった利用者向けに、別の何かを販売する。もしくは、外部提携先のその機会を販売する。
といった【対価】もあります。

例えば、【運用コストは0円】アナログで見つけた秀逸なビジネスモデルご紹介している【知るカフェ】。
大学生であれば、飲食代はタダ。つまり、ここから直接的な売上を確保することはできません。その代わり、大学生が集まる場所と話ができる機会を新卒採用を進めている企業に販売し、運営費を確保しています。

100円レンタカーの場合、対価は【高い回転率】と利益でしょう。

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従来のレンタカービジネスは、時間単位で貸し出すことである程度まとまった「利益」を狙う「利益型モデル」でした。
一方でこの100円レンタカーの場合、時間を10分単位に区切ることで、「回転型モデル」に変わっています。

ビジネスには大別して、利益型と回転型の2種類しかありません。
利益型は、一回の取引で十分な利益を確保してしまうやり方。
回転型は、何回かの取引を通して必要な利益を確保するやり方です。
利益型の代表は、高級ブランドでしょう。
年間を通して、そんなにバンバン売れませんが、1回あたりの利益はでかい。そんなビジネスモデルです。

一方の回転型の代表は、ファストフードでしょう。
1回の取引では十分な利益を取ることはできません。何十人、何百人という顧客を獲得して初めて十分な利益に到達します。

この2種類を兼ね備えたビジネスはまず存在しません。
毎回高い利益を得ながら、回転率も高い。
仮にあったとしても、だれもそのままにしておかないでしょうから、早晩リエキ率か回転率のいずれかを選ばなければなりません。

4.解決策のクオリティ

提供物とその対価が明らかになれば、次はその解決策のクオリティです。

クオリティが低いビジネスは間違いなく破綻します。
よく飲食店などでいわれる、3つのS(スピード、サービス、清掃)といったように、いくら美味しい食事であっても、出てくるまで何分も待たされるようでは、行きたくなくなります。

100円レンタカーの場合、解決策のクオリティをどう確保すれば良いのか。

レンタカーといえど、100円レンタカーという名称であっても、古いクルマを利用したい人はいないでしょう。
また、整備や清掃がされていない、前の人が使ったままになっているのイヤです。このケースでクオリティを考える場合、2つの視点があります。

提供される車のハードウェアとしてのクオリティ
利用後のメンテナンスのクオリティ

です。
また、ここに利用者側のリクエストとして、利用したい車種が選べるのか。という点も入ってきます。

つまり、

選びたい車が選べる選択肢のクオリティ

少なくともこの3つのクオリティをどう提供するか。
そのための【実現手段】と【リソース】を考えるのが次のステップです。

5.実現手段とリソース

実現手段を考える際、並行して考慮したいのが【コスト】です。
コストは、

・初期コスト(イニシャルコスト)
・運用コスト(ランニングコスト)

の2つを考えておく必要があります。
アイデア出しを優先して、一通りモデルを考えたあとで精査してもOKです。

新しいビジネスモデルがきちんと利益を生み出すのかどうか、詳しくはこちらを参考にして下さい。

実現手段に戻りましょう。
この例の場合では、実現手段はレンタカーとして貸し出す「車」です。

車をどのように確保するのか。
その【リソース】は?ということです。

リソースは2種類しかありません。

・自社の既存ビジネスの資産
・取引先や外部資産

のいずれかです。
自社の既存ビジネスが車を利用するものであれば、転用がききそうです。

例えば、タクシー事業をやっている、運送業をやっている、カーディーラーをやっている、その他宅配や介護ビジネスをやっているなど、自社のビジネスで車を利用しているかどうか。

もし、車をほとんど使わないのであれば、外部資産を使うことを考えます。

・車を購入する
・車をリースしてもらう(車のサブリース)

といったことが考えられます。

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<ここで一度立ち止まってください>

自社資産を転用するのであれば、既存ビジネスでそもそも車を購入していますから、調達にかかるコストを抑えることが見込めます。
しかし、新たに外部から調達する場合、今までになかった費用が発生します。

この費用が果たしてサービスを開始したあと、どのくらいで回収できるのか。この点が「割に合う」のか、という確認が必要です。

難しい話ではありません。
例のように車を新たに購入する。その費用が仮に1,000万円とします。この1,000万円が果たしていつまでに回収できるのか。

これだけです。

例えば、1000万円の投資に対して、毎月の売上が100万円だったとしましょう。

すると、単純計算では1000万円÷100万円=10ヶ月といきたいところですが、そう簡単ではありません。

売上ではなく、「利益」でもなく、「キャッシュ=現金」での回収で計算する必要があるのです。

なぜ、売上でも利益でもなく、現金なのか。
それは、投資したお金が「現金」だからです。

ここでバランスが悪いのであれば、

【利用者】または【提供物】に戻ってこのビジネスモデルを見直す

もしくは、

シェアリングサービスなど別の手段を検討する

なども考えられます。
何回検証しても全然大丈夫です。
検証そのものに「お金」は発生しませんから、納得のいくまで何度も検証を繰り返しましょう。

6.販路

ここまでで、【利用者】【提供物】【自社】の3つを考えてきました。
わかりやすい言い方をすれば、誰に何を売り、何を得るのかまで決めたということです。

次は、「どうやって」売るのか。つまり、販路です。
販路は大きく2通り。リアル店舗などを用いた「アナログ」か、WEBを使った「デジタル」か、です。

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ここで押さえておいて頂きたいのが、WEBが優位であるという幻想です。
確かにWEBを使った販路は、リアルに比べてコストも相当抑えることができます。しかし、忘れて頂きたくない点が1つ。それは

マネされやすい

ということです。
費用が安く済む、というのは「自社」だけに限ったことではないのです。自社にとって安く済むということは、競合にとっても同じ環境だということ。

現在、グーグルやアマゾンがしきりにリアル店舗を出そうと実験を繰り返しています。デジタルでは実現できないリアル店舗ならではのビジネスメリットが確実にあることを示しています。

こちらでご紹介しているように、ネットではなくあえてリアルでビジネスモデルを組み上げ成果を出しているケースも沢山あります。

ではどう考えればよいのか。
たった1つしかありません。

「利用者」にとって利用しやすいか、どうか。これだけです。

WEBにしたほうが使い勝手が良いのであれば、WEBサイトですし、通勤途中や地方に出かけたとき、その場にあったほうが便利というのであれば、リアルの展開でしょう。

7.提供者

提供者とは、自社に対して商品や材料、ノウハウなどを提供してくれる企業のことです。

ご覧のとおり、書く項目は【利用者】と同じです。
考え方は利用者−自社と同じです。

※提供者を巻き込むか、巻き込まないか

自社完結で付加価値を提供する場合、提供者の部分記入不要です

自己完結でいくかどうか、どちらが正解というわけではありません。
ただし、注意点が3つあります。

・提供者が利用者と直接やりとりしてしまう恐れがあること
・模倣されやすいこと
・売上が安定しにくいこと

この3点をクリアさせる仕掛けが欠かせません。

提供者が抱える課題を自社の提供価値でどのように解決するのか。
また、自社にとってどのような対価が得られるのか。
これらを埋め込んでいきます。

例として、農家に新しい販路を提供する「タダヤサイ」の例で説明しましょう。提供者である「農家」が抱える課題は、2つ。

・既存の商流だけでは売上・利益が厳しい
→ 天候不順などのリスク
・既存の商流に載せられない野菜(見た目だけが悪いもの)の機会ロス
→ 野菜を作るコストは一律に同じだが、売れない分はそのコストを回収できない。

この課題を解決するために、提供するのが「消費者との接点」です。
農家が独自に販路を開拓できればもちろん言うことなしですが、畑の運営管理を行ないながら、かつ首都圏などに営業に出掛け、直接販売ルートを構築するのはコストもかかりますし、うまくいかなかったときのリスクもあります。

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それだけではありません。直接やりとりするということは、代金回収などの管理の手間を増えるということ。

コストを賄うだけの十分な販路を拡大するまでにかかる時間と、その業務につく人件費を考えると、直接やることはベターとは言えません。

提供するものは「消費者との接点」。これに代わるものはないでしょう。では、どうやってこれを実現すればいいのか。どうすれば、顧客が近づいてきてくれるのか。その問題を解決するために生み出されたのが、従来からある「フリーミアム」方式です。

味や品質には何の問題はないが、形がそろっていないなど見た目が悪いためだけに従来の商流に載せることができない野菜をタダで配るとしたわけです。

一見するともったいない印象がありますが、捨てる予定だったものを使って、広告宣伝ができ、結果顧客との接点が生まれるのですから、栽培時に投下したコストは十分回収できると考えて差し支えないでしょう。

このように提供者=農家に対して対価を提供し、問題の解決へつなげつつ、利用者とつなぐことで、運営者は利用手数料として収益を獲得することができるのです。

8.一通り埋まったら

「利用者」「提供物」「自社」「提供者」とそれぞれの対価がすべて埋まったら、改めて、次の5つの点をチェックしてみましょう。

1) その商品・サービスのコンセプトは?
→ 一言でいうと何か、です。先程のタダヤサイもタダで野菜を配るから
「タダヤサイ」というネーミングが付いています。同じように、誰にでも通じるコンセプトがあるかどうかが重要です。

2) 1取引もしくは、一定期間内で十分な利益は得られるか
3) 利用者の課題=需要は十分あるか(市場として十分か)
4) このビジネスモデルを構築するためにかかる初期コストはいくらか
5) このビジネスモデルを運用するためにかかるランニングコストはいくらか
6) このビジネスモデルを構築・運用するために必要な人員はどのくらいかその人員を確保できるか
7) キャッシュ・フローはどんな形になるか
→ 毎月・毎日のように入る
→ 案件・取引完了ごとに一定期間をおいて入ってくる
→ 広告または別のルートで入っている

8) 財務上の強さがあるか
→ 取引が増えても、固定費が急激に増えない
→ 投資コスト回収が早い
→ 他社資産を利用しているので、イニシャルが大きくない

9) 出口戦略はあるか
残念ながら、未来永劫続くビジネスは存在しません。
近年の調査では、大企業であっても18年程度の寿命しかないと言われています。【売却する】【株式上場する】などの出口戦略も考えておきましょう。

まとめ

1.利用者(顧客)と利用シーン、そしてそこで発生する【課題】を
洗い出す

2.課題に対して、どのような提供物<解決策>を提供できるか
を洗い出す。

3.提供物によって、利用者が得る対価、そして自社が得る対価

4.自社が得る対価は【売上】だけとは限らない。
→ 顧客情報や集客力=広告収入など

5.提供物の実施方法、リソース、その品質を書き出す。

6.自社で提供できない、もしくは内製化しないのであれば、【提供者】を組み込む。

7.利用者と同様に、提供者に対してどんな対価が提供できるかを
書き出す。

8.ビジネスモデル全体として整合性が取れているか、投資対効果はあるかなどをチェックする。