【プロダクト3層モデル図鑑100】036_家計簿

【プロダクト3層モデル図鑑100】036_家計簿


近年、家計簿は単なる記録ツールではなく、「お金の不安を解消し、家計を改善するソリューション」として進化しています。添付のプロダクト3層モデルの図を見ると、現代の家計簿製品が提供する価値が、いかに多岐にわたるかが分かります。

今回は、この図を基に、家計簿製品の持つ多層的な魅力を紐解いていきましょう。

家計簿のプロダクト3層モデル

1. 中核: 顧客が本当に得たい「中核の価値」

家計簿が提供する最も基本的な価値、つまり「顧客が本当に得たいもの」は何でしょうか。

それは、図の中央にある通り「家計の収支を把握したい」という根源的なニーズの充足です。この中核的な価値は、「家計管理を成功させたい」「貯蓄を増やしたい」といった、より深層的な顧客の願望を達成するための土台となります。

2. 実体: 製品の「具体的な形と特性」

次に、中核の価値を実現するための具体的な製品特性、すなわち「実体の製品」を見ていきます。家計簿の機能、品質、デザインなどがこれにあたります。

機能

家計簿の実用性を左右する重要な要素です。費目分類の機能、月間集計表や年間集計表、メモ欄、グラフ、そして付箋やインデックスなどが、効率的な記録と分析を可能にします。

品質

製品を長く、快適に使うための物理的な特性です。紙質、製本技術、そして総合的な耐久性が、書きやすさや保存性に影響します。

デザイン

継続利用のモチベーションに関わります。表紙デザイン、中面(レイアウト)デザイン、フォント、イラストなどが、愛着を持って使い続けられるかに影響します。

ブランド

製品に対する信頼とイメージを築きます。「手軽に始められる」「お金のプロが作った」「家計改善に強い」といったコンセプトや、利用者のレビューによる信頼性が、製品の価値を高めます。

価格

製品の購入に対する対価です。100円ショップの製品から、数百円〜数千円の価格帯まで、幅広い選択肢が存在します。

提供チャネル

製品が顧客に届く場所であり、購入のしやすさに直結します。文具店、書店、雑貨店、スーパーマーケット、そしてオンラインなどが含まれます。

カスタマイズ

個々のユーザーの利用スタイルに合わせた柔軟性を提供します。項目の追加や、オリジナル表紙の作成などがこれに該当します。

3. 付随機能: 製品に付加される「サービスと特典」

最後に、製品の価値をさらに高め、顧客体験を豊かにする「付随機能(拡大製品)」です。

保証・サポート

購入後の安心を提供します。不良品の交換対応や、利用に関するお問い合わせ窓口などが、顧客の信頼性を高めます。

情報提供

家計簿の利用効果を最大化するための知識を提供します。家計簿の使い方、家計管理に関する情報、そして具体的な節約術などが含まれます。

関連サービス

家計管理という中核ニーズの解決を、専門的なサービスで補完します。ファイナンシャルプランナー(FP)による相談や、家計簿に関する講座などがこれにあたります。

パートナー

他のシステムとの連携により、利便性を拡張します。銀行口座連携、保険商品紹介、スマートフォンアプリとのデータ連携などが含まれ、より現代的で自動化された家計管理を可能にします。

まとめ

家計簿は、プロダクト3層モデルで分解することで、その提供価値が単なる「記録帳」ではなく、機能、品質、ブランド、そして多様なサポートサービスによって構成される「家計の収支把握とその改善を支援するトータルソリューション」であることが明確になります。

この多層的な価値こそが、現代の家計簿製品がユーザーに選ばれ、愛用される理由となっています。