【解剖】テレビ・新聞が壊れ始めた本当の理由〜「時代の変化」ではなく「偽りのニーズ」の露呈〜

【解剖】テレビ・新聞が壊れ始めた本当の理由〜「時代の変化」ではなく「偽りのニーズ」の露呈〜

「若者のテレビ離れ」
「新聞の購読者数の激減」
「ネットやSNS、タイパ重視の時代の変化」

テレビや新聞が衰退している理由を語るとき、世の中の評論家やニュースは、口を揃えてこうした「時代の変化(症状)」を挙げます。

しかし、マーケティングやビジネスの構造を見抜く「4枚のカード」というフレームワークで解剖すると、そんな生ぬるい話ではない「恐ろしい病因(真実)」が浮かび上がってきます。

テレビや新聞が壊れ始めた本当の理由。 それは、ネットが便利になったからでも、コンテンツが詰まらなくなったからでもありません。

「そもそも最初から、顧客側に強いニーズなど存在していなかった」という残酷な真実が暴かれたからです。

 

復習:アイデアと事業を解剖する「4枚のカード」

まず、ビジネスの構造を整理する4つのカードをおさらいしておきましょう。

ビジネスが成立するためには、右辺(構造・サービス)と左辺(顧客の生のニーズ)が「=(イコール)」でガチッと結ばれていなければなりません。

では、かつてのテレビや新聞は、この左辺(ニーズ)とどう結びついていたのでしょうか?

「ニーズがあった」のではない。「選択肢がなかった」だけ

かつて、テレビや新聞は大成功を収めていました。
しかしそれは、顧客が「どうしてもテレビが見たい!」「どうしても新聞が読みたい!」という強いニーズ(左辺)を持っていたからではありません。

彼らは、以下の強力な「右辺(インフラの独占)」によって守られていただけでした。

  • 新聞 : 全国を網羅する巨大な「戸別配達網(配送インフラの独占)」
  • テレビ: 国家から与えられた「電波利権(許認可インフラの独占)」

朝起きてポストを開ければ新聞が入っている。茶の間のソファに座ればテレビが流れている。当時は「暇をつぶす娯楽の選択肢」がそれくらいしかなかったため、人々はなんとなくそれらを消費していました。

顧客は「それしか情報を得る選択肢がなかったから(選択肢の不在)」使っていただけなのです。

つまり、彼らの過去の売上や影響力は、顧客の強いニーズから生まれたものではなく、「選択肢を独占するインフラの壁」が生み出した『偽りのニーズ』に過ぎませんでした。

テレビや新聞は「レクサス」や「エルメス」ではない

かつてのテレビや新聞の経営者たちは、自分たちのコンテンツを「レクサス」や「エルメス」のような、顧客から熱狂的に愛される特別なブランド(知性や文化の象徴)だと思い込んでいました。(今もそうかもしれません)

レクサスやエルメスは、世の中に100万円の軽自動車や1000円のエコバッグがどれだけあふれかえろうが、絶対に顧客から捨てられません。機能を超えた「熱狂的な愛着」という強いニーズ(左辺)で結ばれているからです。

現実は残酷でした。
テレビや新聞は、レクサスでもエルメスでもなく、ただの「そこに水路があるから飲んでいた水道水」だったのです。

他に喉を潤す手段(選択肢)がなかったから飲まれていただけであり、横に「コカ・コーラ」や「キンキンに冷えたジュース(スマホ・SNS)」が置かれた瞬間、水道水を飲まなくった人が増え続けていることがなによりの証左です。

テスラが登場したとき、レクサスは崩壊したか?

既存メディアの人間はよくこう言い訳をします。 「スマホやインターネットという、時代を変える黒船(テスラ)が来たんだから、自分たちが衰退するのは時代の不可抗力だ」と。

しかし、どうでしょうか。

テスラという革命的なEVが現れたとき、レクサスは今のテレビのように崩壊したでしょうか?

答えはNOです。
テスラは世界中で爆発的に売れましたが、レクサスは崩壊せず、今も強いブランド価値とファンを持ち、売れ続けています。なぜならレクサスには、顧客の強い欲望(左辺)と結びついた本物の価値があったからです。

テスラ(スマホ)が現れた瞬間に一瞬で土台から崩れ去ったという事実。 それこそが、テレビや新聞が「レクサスのような本物のブランドではなく、単に他に選択肢がなかっただけの水道水だった」ということの何よりの証明なのです。