他業種のメインビジネスを利用するビジネスモデル

他業種のメインビジネスを利用するビジネスモデル

他業種からの参入でもっとも厳しい方法が、その市場での収益をアテにしていないやり方です。

具体例をあげると、IYグループやイオンなどの銀行業があります。それぞれ、銀行の免許を取得し、セブン銀行とイオン銀行の運営を行なっていますが、従来からある銀行と違い、銀行業そのものの収益はそれほどではありません。あくまで、顧客サービスの延長として実施されています。

IYやイオン側からするとなんてことはないですが、メガバンクをはじめ、地銀や信金といったそれがメインとなる銀行業からするとたまったものではありません。

銀行業の場合、ガチガチの法的規制で縛られていますから、反対の動き、つまりIYやイオン側へ乗り込むことができません。仮に、出来たとしても「ノウハウ」がない。(資金の問題は小さいでしょう。やるとするなら、別会社を創り、それで戦うことになりますが、この両社に対して、小売業で挑むのは無謀でしかありません。)

こうした手法が、意外なところから登場しました。

■ダイドーの意外すぎる手法

コーヒー飲料などで有名なダイドードリンコが手がけたのがこれです。

「THE KING OF FIGHTERS D ~DyDo Smile STAND~」
https://www.dydo.co.jp/smilestand/kof/

ゲームメーカーであるSNK株式会社とコラボし、同社のゲームコンテンツ「THE KING OF FIGHTERS」と自販機と連動させた仕組です。

一時期社会問題にも発展したガチャと課金。この課金部分を自販機での商品購入によって貯まるポイントに置き換えているのです。

ダイドーにとって大切なのは自販機で飲み物を購入してもらうこと。アプリによる課金収入がメインではありません。

お気づきのように、この反対は逆さになってもできません。つまり、スマホゲームアプリ会社が、飲料販売、飲料にかぎらず、なにかしら「アナログ」の商品をガチャ用のポイント購入用に準備するのはまず不可能です。

現時点では、SNKから提供されるコンテンツですが、ダイドーがさらに資本を投下して、本格的なスマホゲームを提供したらどうなるでしょう?

■反撃されない方法を探す

こうした手法は、大企業専用ではありません。中小・ベンチャーでも可能です。

よるあるのが、「小さな市場」狙い。大企業が乗り込むには管理コストがかかり過ぎる、そんな戦場を選ぶ方法です。

反対にあまりオススメできないのが、反撃されない場所を「製品=プロダクト」で作ろうとすること。

WEBサービスであれば、ある程度知名度やアクセス数を確保してしまえば、上場など「逃げ切り」も可能です。しかし、製品の場合、機能強化など、後発有利のカテゴリーがたくさんあるためです。

もし、製品で実行するのであれば、市場の規模もありますが、「部分最適」を狙うことをお勧めします。メジャー系の製品の部分に相当するもの、有名どころであれば、スマホのケースなどです。あの市場にはさすがに大手は乗り込んできません。玉石混合は避けられませんが、小規模資本でも十分に戦えるのりしろがあります。

新しいビジネスを考える際、ついぞそこから生まれる利益や売上のことに目が行きがちですが、ご紹介したような「参入の防御」ができるかどうかもぜひ、検討材料の1つに加えて下さい。きっと御社の利益が長い将来に渡って安定するはずです。