【プロダクト3層モデル図鑑100】044_冷蔵庫
- 2025.11.05
- プロダクト3層モデル図鑑

冷蔵庫は、現代の生活において「食品・飲料の鮮度を保ちたい」という最も重要な機能を満たす家電製品です。しかし、単なる冷却機能を超えて、暮らしの快適性や省エネ性、さらにはスマートな生活への貢献といった多層的な価値を提供しています。添付のプロダクト3層モデルの図は、その価値構造を明確に示しています。
今回は、この図を基に、冷蔵庫製品が提供する多層的な魅力を紐解いていきましょう。
冷蔵庫のプロダクト3層モデル
1. 中核: 顧客が本当に得たい「中核の価値」
冷蔵庫が提供する最も基本的な価値、つまり「顧客が本当に得たいもの」は何でしょうか。
それは、図の中央にある通り「食品、飲料の鮮度を保ちたい」という根源的なニーズの充足です。この中核的な価値は、「食材を無駄なく使い切りたい」「いつでも冷たい飲み物を飲みたい」「健康な食生活を送りたい」といった、生活の質に関わる深層的な願望を達成するための土台となります。
2. 実体: 製品の「具体的な形と特性」
次に、中核の価値を実現するための具体的な製品特性、すなわち「実体の製品」を見ていきます。冷蔵庫の機能、品質、デザインなどがこれにあたります。
機能
冷蔵庫の主要な役割と利便性を決定する要素です。冷蔵室、冷凍室、野菜室、製氷機能、脱臭機能、急速冷凍、自動製氷、タッチパネル、そしてスマホ連携などが含まれ、多様な食品の保存ニーズと利便性に応えます。
品質
製品の信頼性と長期的な運用コストに直結する要素です。冷却性能、省エネ性能、耐久性、そして静音性が、日々の快適性と経済性を左右します。
デザイン
キッチン空間との調和と、製品の個性を表現します。外観デザイン、カラー、素材、ハンドル、ディスプレイなどが含まれ、インテリアとしての側面も持ちます。
ブランド
製品の信頼性とイメージを裏付けます。信頼性、特定の機能における専門性、デザイン家電としてのイメージなどが、顧客の購買決定に影響を与えます。
価格
製品の持つ機能や容量、技術の対価です。エントリーモデルとハイエンドモデルといったラインナップがあり、顧客の予算や求める性能に応じた価格設定がされています。
提供チャネル
製品が顧客の手に届く場所です。家電量販店、オンラインストア、ホームセンターなどが、主な販売ルートとなっています。
カスタマイズ
ユーザーの使い勝手に合わせた調整を可能にします。棚のレイアウト変更やドアポケットの調整などが、収納効率の向上に貢献します。
3. 付随機能: 製品に付加される「サービスと特典」
最後に、製品の価値をさらに高め、顧客体験を豊かにする「付随機能(拡大製品)」です。
保証・サポート
製品を安心して長く利用するためのサービスです。メーカー保証、延長保証、修理対応、そして設置サービスなどが、購入後の不安を解消します。
情報提供
製品の利用を促進し、生活を支援する情報です。製品情報、使い方、レシピ、そして省エネアドバイスなどが、製品価値の最大化をサポートします。
関連サービス
メイン機能を超えて、食生活全般の質の向上をサポートします。スマートスピーカーとの連携、食材宅配サービスとの連携、そしてレシピ提案などが、現代のライフスタイルに合わせた利便性を提供します。
パートナー
製品の機能と流通を支える外部リソースです。電力会社、食材宅配サービス、家電メーカーなどが、製品の多様な機能やサービス連携を可能にするパートナーです。
まとめ
冷蔵庫は、プロダクト3層モデルで分解することで、単なる「冷却」という機能に留まらず、高度な冷却・省エネ性能、優れたデザインとブランド力、そして設置サービスやスマート連携といった付加サービスによって、「食品・飲料の鮮度を保ちたい」というトータルな生活の質の向上価値を提供していることが明確になります。
この多層的な価値こそが、冷蔵庫が長期にわたって顧客の快適な生活を支え続けている理由となっています。
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