【思考実験001】カフェ版クラスJ

【思考実験001】カフェ版クラスJ

「ちょっと時間を潰す」ことが今の都心では困難に
https://toyokeizai.net/articles/-/750004

都内のカフェはどこもかしこも混んでいて、ちょっと休むこともままならない。数ヶ月前、こんなニュースをよく目にしました。今もさほど改善していません。

こうした混雑を招く原因の1つとしてよく取り沙汰されるのが仕事や学習で長時間使っている人たち。
コーヒー一杯で何時間も居座られるのは、店側にとっても利用者側にとっても悩ましいものです。

この問題に対する思考実験として提示したいのが、

カフェ版クラスJ

クラスJとはJALが提供するファーストとエコノミーの中間に位置するひとつ上の座席サービスです。
この概念をカフェに転用できないだろうかという思考実験です。

店内にある一定数だけ有料版にし、1時間もしくは30分単位で課金する。

イメージは、JRの普通グリーン車。グリーン券を購入したSuicaをかざすとランプが赤から青に変わるあれです。(降車駅に着くと自動的にランプが赤に戻る)

既存の店舗用スマホアプリ内に事前予約機能を組み込んでおき、そこから申し込めるようにしておく。
直接店舗に来て利用する場合、JRと同様(車内で購入するケース)割高に設定する。

仮に1時間200円と設定したとして、1日に2人利用し1人が2時間利用したとすると、2×2×200×30日=24,000円。決済手数料が5%として、24,000×95/100=22,800円。

決済用端末は1台10,000円/月くらいですから、残りは12,800円。
これがそのまま粗利になります。

席数を10席(待ち行列は計算できないので仮です)として、月額128,000円。売上に逆算すると、1,280,000円。
コーヒー1杯を600円としても、2133人分の売上に相当します。

かなりざっくり計算ですが、いわゆるFLコストがかからない点が何より大きいでしょう。

 

とはいえ、1つ疑問が浮かびます。
席を有料化すると、自習室など競合へ流れてしまうのではないかと。

都内の喫茶店数は6,121カ所(全日本コーヒー協会)。
一方有料の自習室は177カ所(2023年時点)、コワーキングスペースは669カ所(コワーキング.COM登録件数)でカフェの6分の1しかありません。

また、自習室の費用は月額制のところが大半を占め、15,000~20,000円ほどかかります。

有料席を週2回、4日使ったとしても、1,600円×4=6,400円。
コーヒー代が加わるとコスパでは勝てませんが、カフェには自習室にない勉強や仕事をする上でのメリットがあります。

 

カフェで勉強するメリット

ある程度騒がしいほうが集中力が増す

イリノイ大学アーバナシャンペーン校のラビ・メータをはじめとする研究チームは、さまざまなレベルのノイズの中で創造的思考のテストを受けてもらう実験を行ないました。

参加者は無作為に4つのグループに分けられ、全員が遠隔連想テストを受講。その際、グループごとに4つの異なるレベルのノイズ、完全な無音、50デシベル、70デシベル、そして85デシベルを聞かせたところ、70デシベル(コーヒーショップでの周囲の話し声に相当するノイズ)のグループは、他のグループより成績が突出してよかったという結果が出ています。

全くの無音や、騒がし過ぎると差し障りがありますが、普通の話し声程度であれば、むしろ集中しやすいということです。カフェで勉強する人や仕事をする人がこの結果を知っているかどうかはわかりませんが。