【なぜ売れた?】ハウス「3色のカレー」に学ぶ!新しい市場を創る「顧客セグメント戦略」

【なぜ売れた?】ハウス「3色のカレー」に学ぶ!新しい市場を創る「顧客セグメント戦略」

新しいビジネスや商品を考えるとき、「どうすれば爆発的にヒットするのか?」という問いは永遠のテーマです。

国民食である「カレー」という成熟市場で、ハウス食品が打ち出した「ホワイトカレー」「ブラックカレー」「レッドカレー」の3色ルウカレーシリーズは、その問いに対する鮮やかな答えを示してくれました。

彼らの成功の裏には、緻密な「顧客セグメント戦略」がありました。この記事では、ハウス食品が分類した7つの顧客セグメントに基づき、どのようにして既存市場の枠を超えたヒットを生み出したのかを解説します。

1. 成熟市場の「壁」を破るカギは「新しい顧客」

ハウス食品は、カレー市場の消費者を7つのセグメントに分類していました。従来のカレー市場のヒット商品は、「家族団らん層」や「堅実食生活層」といった、既存のボリュームゾーンをメインターゲットにしていました。

しかし、3色カレーが狙ったのは、そこではありませんでした。

新しいビジネスを立ち上げる際、既存の競合が飽和している市場で戦うよりも、「まだ競合の手が及んでいない顧客セグメント」を見つけ、そのニーズに特化した商品を提供することが成功への近道です。

2. 「料理エンジョイ層」の心を掴んだ3つの要素

3色カレーのメインターゲットは、特に20代〜30代の女性を中心とする「料理エンジョイ層」でした。この層の潜在的な欲求を満たした3つの要素は、現代のプロダクト開発において非常に重要です。

顧客心理:手軽に「映え」たい(承認欲求と話題性)

この層は料理を楽しみますが、「時間や手間をかけすぎるのは避けたい」という矛盾した欲求を持っています。

商品の回答:「色」のイノベーション
従来の「茶色」から「白・黒・赤」という非日常的な色に変えることで、調理の手間はいつものカレーと全く同じなのに、食卓の見た目と話題性は最大化されます。彼女たちはこの手軽な非日常をSNSで共有し、大きな拡散を生み出しました。

顧客心理:マンネリを打破したい(多様性への欲求)

定番の料理ではあるが、「いつものカレー」に飽きている、という潜在的な不満がありました。

商品の回答:「専門性」の提供
白はエビ、黒は欧風、赤はアジアン風といったように、色ごとに味の方向性を明確化。「家庭用ルウ史上最〇〇」という品質へのこだわりを打ち出すことで、「単なる色物ではない、本格的な専門店の味」という認識を与え、食卓の多様性を手軽に実現しました。

顧客心理:お得に楽しみたい(体験的価値の追求)

この層はコスパを重視しますが、それは単なる「価格の安さ」ではなく、「価格対体験の質」です。

商品の回答:「パーティ機能」の付加
3色のルウが揃うことで、通常の食事ではなく「3色カレーパーティ」という新しい食のイベントが生まれました。外食で3種類の専門店の味を試すよりも遥かに安価で、友人や家族と盛り上がれる「体験的価値」を提供しました。

3. 他のセグメントにも波及する「共通用語」を用意する

成功した商品は、メインターゲット以外のセグメントにも刺さる「副次的なメリット」を持っています。

  • 「中食・料理チャレンジャー層」には:新しい味覚の提供
  • 「タイパ層」には:献立決定の時短と高満足度
  • 「手料理こだわり層」には:品質の高さ(製法・スパイス)

「3色のカレー」は、核となるターゲット(料理エンジョイ層)の心は外さず、同時に他のセグメントが持つ「ちょっとした悩み」(時短、マンネリ、品質)も解決する「多面的な訴求ポイント」を持つことで、市場全体を巻き込む爆発的なヒットを実現したのです。

まとめ:あなたのビジネスが学ぶべきこと

ハウス食品の成功は、以下の問いを私たちに投げかけています。

  1. あなたの既存市場で、競合がまだ満たせていない「新しい顧客セグメント」はどこですか?
  2. そのセグメントが抱える「潜在的な欲求(例:映えたい、新しい体験がしたい)」は何ですか?
  3. その欲求を、「手軽に」「面白く」満たせる「既存商品の枠を超えたイノベーション」は何ですか?

「ホワイト・ブラック・レッドカレー」は、定番市場であっても、顧客心理を深く掘り下げ、大胆なコンセプトで挑むことで、新たなビジネスチャンスが生まれることを証明してくれました。ぜひ、あなたの新しいビジネスのヒントにしてください。