【プロダクト３層モデル図鑑１００】024_クレヨン

新しいビジネスを立ち上げようとしている方へ。どんなに素晴らしいアイデアでも、顧客に「選ばれる理由」がなければ成功は難しいでしょう 。

今回は、プロダクト3層モデルを使ってクレヨンという商品を徹底解剖し、その成功の秘訣を、あなたの事業アイデアに活かせるヒントとしてご紹介します 。

クレヨンのプロダクト３層モデル

1. 中核の価値：あなたのビジネスは、顧客のどんな「本質的な欲求」に応えますか？

クレヨンは単なる「画材」ではありません。顧客は「子どもの自由な表現、安心、安全」という、創造性の発揮と、親の安心という本質的な価値を手に入れています。

ビジネスへのヒント

あなたのビジネスが提供する究極の価値は何でしょうか？「家計の不安をなくす」「新しい趣味で人生を豊かにする」「自信を取り戻す」など、顧客の感情や根本的な課題に焦点を当ててみましょう 。この核となる価値が明確であれば、事業の方向性がブレることはありません 。

2. 第2層：形態（見える部分）

この層は、顧客が直接見て、触れて、利用するサービスや商品の具体的な要素です 。中核の価値を形にする重要な部分です 。

機能

クレヨンの機能として、描画、混色、重ね塗り、スクラッチ、持ち運びといった、絵を描くための基本的な機能があります。

品質

耐光性（色が褪せにくい）、安全性（子どもが口にしても安全な素材）、折れにくさ、そして安定した品質が、親が安心して子どもに与えられる基準となります。

デザイン

鮮やかな発色、なめらかな描き心地、持ちやすい形状、ケースやパッケージのデザインなどが、子どもの使用体験と親の購買意欲を高めます。

ブランド

「サクラクレパス」といった老舗の信頼性、学校教材としての実績、子どもの頃の思い出といった感情的な価値が、ブランドの核となります。

3. 第3層：付随機能（見えない部分）

この層は、顧客体験をさらに豊かにし、リピーターを増やすための「見えない」要素です 。競合との差別化を図る上で特に重要になります 。

価格

セット商品の価格、単品購入の価格の他、高品質なものから安価なものまで、幅広い価格帯が設定されます。

提供チャネル

顧客は、文具店、画材店、百貨店、スーパーマーケット、オンラインストアなどを通じてクレヨンを購入します。

関連サービス

メインの商品販売に加えて、ワークショップ、塗り絵コンテスト、コラボカフェなど、子どもの創造性を育む体験やコミュニティを提供するサービスが、顧客満足度を高めます。

保証・サポート

不良品交換、お問い合わせ窓口など、購入後の問題に迅速に対応するサポート体制は、親の安心感に繋がります。

パートナー

画家、イラストレーター、教育機関、美術館など、専門性の高いパートナーと連携することで、商品の信頼性や教育的な価値を高めます。

カスタマイズ

好きな色を自由に選べる単品販売や、学校や企業向けの特注セットなど、顧客のニーズに合わせたカスタマイズサービスを展開することで、顧客ロイヤリティを高めることができます。

まとめ：あなたのビジネスを「3層モデル」で再構築しよう

新しいビジネスを考えるとき、ついつい「何を作るか」という機能に目が行きがちです 。しかし、本当に成功するビジネスは、顧客に提供する「中核の価値」を明確にし、それを「見える部分」と「見えない部分」のすべてで一貫して表現しています 。

このクレヨンの事例を参考に、あなたのビジネスアイデアをプロダクト3層モデルに当てはめて、顧客に選ばれる理由を一つひとつ組み立ててみてください 。