【アイデアの大量生産可能】プロダクト3層モデルによる新ビジネス発想法

【アイデアの大量生産可能】プロダクト3層モデルによる新ビジネス発想法

1.プロダクト3層モデルとは何か

プロダクト3層モデルとは、フィリップ・コトラーが提唱したプロダクトの構成要素を表したもので、以下の3つの円で構成されています。

 

 

   中心円:その商品がもたらすベネフィット
 2つめの円:商品の形態
一番外側の円:商品にまつわる付随機能

を表しています。例えば、車なら

   中心円:移動できる、乗る楽しみ
 2つめの円:トヨタ、スポーツタイプ
一番外側の円:車検サービス

といった具合です。

このコトラーの3層モデルをさらに詳細に分割し、あらゆる商品・サービスが該当するように再構成したのが以下の新・プロダクト3層モデルです。

3つの円が意味するものは同じですが、コトラーの図にはなかった、「価格」や「デザイン」などの項目を追加し、汎用性と網羅性を高めました。

(旅行会社、スーパーマーケット、即席麺の例)

 

2.プロダクト3層モデルの役割

この新しいプロダクト3層モデル図が何の役に立つのか。

コトラーのモデルは、プロダクトの構成要素を表すことが目的でしたが、この新しいモデルの役割は、12個ある項目のいずれかを別のものに置き換えることで、「差別化を含んだ」新しいビジネスを創ることです。

新しいビジネスには必ずそのベースとなったビジネスが存在しています。
例えば、「ペットタクシー」

 


人間だけではなく、ペットも乗車可能なタクシーサービスですが、この場合「タクシー」というビジネスがベースになっています。

つまり、タクシーのビジネス要素のうち、乗せる対象を「人→ペット」と変えることで新しいビジネスになったわけです。

では、どのように置き換えていけばよいのか。
続けてその3つの手順をご紹介しましょう。

 

3.プロダクト3層モデルを使った発想手順


この新しいプロダクト3層モデルを使った新しいビジネスを生み出す3つの手順は、

STEP1)ベースビジネスのP3モデルを選ぶ
STEP2)顧客ニーズの変更
STEP3)顧客ニーズに対応する項目の変更

 です。

今や全国に1,800箇所も展開する「チョコザップ」を例にこの手順を紹介しましょう。

STEP1 ベースビジネスのプロダクト3層モデルを選ぶ

STEP1は、ベースとなる、つまりアレンジする対象のビジネスです。

上述のペットタクシーであれば、「タクシー」。
チョコザップの場合、「フィットネスジム」がそれです。

 

“ベースビジネスを一から作る必要はありません”

本サイトには計100個のプロダクト3層モデルを記載していってます。
(現時点で21個)

この中から、新しいアイデアを出したいと思うビジネスを選んで使ってください。
今後も引き続き追加する予定ですので、ぜひ定期的にチェックしてみてください。

STEP2 顧客ニーズの変更

STEP1でベースとなるビジネスのモデルを選んだら、次は、モデルの中心円である「顧客ニーズ」の変更です。

ビジネスは必ず「ニーズ(または不満)とその解決策」が対になっています。

  真夜中にお腹が空いた : 24時間営業(コンビニ)

といった具合です。

つまり、ニーズを変えれば当然解決策も変わります。
これがそのまま差別化になるわけです。

  例)真夜中にお腹が空いた → 安く済ませたい(ディスカウントストア)

 

チョコザップの場合、一般的なフィットネスジムのニーズである「体力向上やダイエット」といったものから、「手軽に」「効率的に」といった初心者向けのものに変えました。

 

 

以上がSTEP2です。

STEP3 顧客ニーズに対応する項目の変更

最後のSTEPです。
STEP2で変更した新しい顧客ニーズに対応するよう該当する項目を変更します。

チョコザップの場合、

・手軽に
・低コストで (運動したい)

でした。

この2つのニーズを解決できる項目を変更します。


まず、「手軽に」。
手軽にジムに通いたい。ということは、ジムに通う上での負担を減らすこと。
これが
ニーズに沿った解決策になります。

チョコザップの場合、

  手軽に → 「着替えなし」「24時間利用可能」

としたうえで、さらに、

「ジムで身体を鍛えることが最優先ではないといった気持ち」を汲み取り、

  → エステやコインランドリー

という解決策も加えています。

 

そして「低コスト」。
これはシンプルです。

チョコザップの場合、月額3,278円でしかも定額にしました。
(コナミなど一般的なジムの場合、安くても7,8,000円はするでしょう)

 

 

 

「機能」と「価格」を変更したことで、連動して他の項目も調整する必要がありますが、この2つを変更したことで、競合他社との差別化が明確になっていることは明らかです。

 

補足)

1.カギは「顧客ニーズの変更」

この発想方法のカギは、チョコザップの例を見てもわかる通り、「顧客ニーズ」をどのようなものに置き換えるか、です。

競合他社がまだ満たしていない顧客ニーズはを選ぶ。
これを探し当てるのがもっとも重要な1点です。

2.この方法を用いる発想のメリット

このプロダクト3層モデルを用いて新しいビジネスアイデアを考えると、

1.差別化
2.ビジネスの必要要件

の2つを同時に満たすことができます。
つまり、アイデアができた時点で「競合との差別化が明確」で、かつそのビジネスに必要な要件の洗い出しが完了しています。

 

手順まとめ

STEP1)ベースビジネスのP3モデルを選ぶ

STEP2)顧客ニーズの変更
  → 中心円にある顧客ニーズを別のものに置き換える

STEP3)顧客ニーズに対応する項目の変更
  → 置き換えたニーズを解決するように他の項目を変える

 

上述のとおり、今後もモデル図は追加していく予定です。
ぜひ、モデル図を使って新しいビジネスをどんどん生み出してください。