クイズの答え合わせ!お寺を救う、驚きのビジネスモデルとは?
- 2024.06.18
- 発想クイズの答え
【6/18】発想クイズの答えと解説です。
まずは、クイズ本文です。
正解は…
A)寺院一体型ホテルでした!
寺院と一体になったホテル。なぜ、こうした新しいビジネスモデルが生まれたのでしょう?
その背景や理由を掘り下げていきましょう。
なぜ「寺院一体型ホテル」が注目されているのか?
近年、檀家制度の衰退や少子高齢化、都市部への人口集中など、様々な要因が重なり、全国各地のお寺が存続の危機に瀕しています。特に深刻なのが、以下の問題です。
こうした問題点を分類し、関係性を見直すと、新たな問題にそのまま接続してしまう恐れも見えてきます。つまり、現在の延長線上では根本的な解決が難しいことが予想されます。
寺院を取り巻く厳しい現実:データで見る寺院の現状
さきほどの問題を裏付けるように、寺院を取り巻く状況は年々厳しさを増しています。
寺院数の減少
1940年には約16万カ寺あった寺院数は、2015年には約7万7千カ寺にまで減少しています。
お布施の低価格化
葬儀の簡素化や低価格志向の高まりを受け、お布施の平均額は減少傾向にあります。宗派や地域によって異なりますが、全国平均では30万円程度と言われています。しかし、葬儀社が提供する低価格の葬儀プランの中には、お布施込みで10万円以下のものも存在し、寺院の収入を圧迫しています。
こうした傾向の裏側には、葬儀を出す家族側の事情があることを忘れてはいけません。
少子高齢化が進んだほか、長らく続いている構造的な不景気によって、従来のような費用を賄えない、対応できない人が増え続けているのです。
一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団、冠婚葬祭総合研究所による葬祭等に関する意識調査によると、
家族葬については、前回減少をしていた「身内だけでゆっくりと故人を偲べる」 「故人の希望」が増加し、「参列者の負担への気遣い」が減少している。コロナ禍が多少緩和されたこともあり、こちらもP6の「参列者への気遣い」 →「故人への想い」 「遺族の気持ち」という変化と同様の傾向となっている。
ただし、こうした中でも「費用負担が少なくて済む」も僅かながら着実に増加の傾向にあり、経済的な負担による小規模化・簡素化という層も着実に増えてきていることが感じられる。出典:ポストコロナ研その後~「第6回葬祭等に関する意識調査」報告
お寺がビジネスとして抱える制約
こうした問題を解決するためには、お寺の収益を改善するほかありませんが、その手段には制約があります。
お寺は宗教法人であり、活動は宗教活動を中心とする必要があります。そのため、宗教活動以外の収益事業への制限があるのです。
収益事業そのものはできますが、収益は宗教活動の維持・発展のために使われることが前提です。
収益事業が宗教活動と無関係であったり、収益が宗教活動以外の目的に使われたりする場合、税制上の優遇措置が受けられなくなったり、宗教法人としての地位が危ぶまれたりする可能性があります。(例えば、家電の販売などはできません)
その他、政治活動への関与や営利目的の布教活動、公序良俗に反する行為が禁止されています。
参照)宗教法人法:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000126
以下に、主なお寺の収益項目を確認しておきましょう。
お寺の収益構造
寺院一体型ホテル:伝統と革新の融合、そして新たな収益モデル
このような状況を打開するため、新たな活路として注目されているのが、今回のクイズの答えとなった「寺院一体型ホテル」というビジネスモデルです。
寺院一体型ホテルは、単なる宿泊施設ではなく、歴史ある建造物や美しい庭園を活かし、宿泊客に非日常的な体験を提供することで、寺院の収益源を確保し、文化継承にも貢献できると期待されています。
ホテルを併設することで、寺院は以下の収益を得ることができます。
これらの収益であれば、「宗教法人法」に抵触することはなく、お寺の収益を支えることができます。
寺院一体型ホテルの魅力とは?
では、寺院とホテルが一体になったビジネスモデル。その良さはどこにあるのでしょう。
その魅力は、なんといってもその独自性にあります。
・歴史的建造物での宿泊体験
何百年も続く歴史を感じさせる建物に泊まれるという、他では味わえない特別な体験ができます。
・静寂な環境でのリフレッシュ
日常の喧騒から離れ、心身ともにリラックスできる空間を提供します。
・精進料理や座禅体験など、文化体験
宿泊と合わせて、寺院ならではの文化体験ができるのも魅力の一つです。
どれほどのラグジュアリーホテルやリゾートホテルであっても体験することのできないものばかりです。
これらの魅力が、国内外の観光客から注目を集め、寺院の新たな収入源となっています。
寺院一体型ホテルの成功事例
寺院一体型ホテルは各地で成功を収めています。
三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺
https://www.gardenhotels.co.jp/kyoto-kawaramachi-jokyoji/
京都市にある浄土宗寺院「浄教寺」と一体となったホテル。宿泊客は朝のお勤めや写経体験に参加できます。
カンデオホテルズ大阪心斎橋
https://www.candeohotels.com/ja/osaka-shinsaibashi/
大阪市にある三津寺と一体となったホテル。御堂筋に面した好立地で、インバウンド客にも人気です。
今後も増加することが予想されています。
他のビジネスモデルの事例
お寺の収益改善のために展開されているビジネスモデルはホテルだけではありません。
ほかにもお寺を活性化させる様々なビジネスモデルが生まれています。
宿坊)
従来からある、寺院に宿泊できる施設。近年では、外国人観光客向けに、座禅や写経体験などを組み合わせたプランを提供する宿坊も増えています。
レンタルスペース)
本堂や書院など、寺院の 使われていない場所をイベントスペースや会議室として貸し出すことで、新たな収益源を確保できます。
カフェやレストラン)
境内や参道にカフェやレストランを併設し、地域住民や観光客の憩いの場を提供することで、集客力を高めることができます。
農業体験)
寺院が所有する土地を活用し、農業体験や収穫体験などのイベントを開催することで、地域との連携を深めることができます。
これらの事例は、それぞれの寺院の特性や地域性を活かした、多様なビジネスモデルの可能性を示しています。
まとめ:寺院の未来を明るく照らす、新たな可能性
寺院一体型ホテルをはじめとする、お寺の新たな活用方法は、お寺の存続危機を救うだけでなく、地域経済の活性化や日本の伝統文化の発信にも繋がる、大きな可能性を秘めています。
これらのビジネスモデルは、上記の表にあるような寺院が抱える様々な問題を解決するだけでなく、以下のような新たな可能性も秘めています。
・地域経済の活性化
・雇用創出
・文化継承と観光振興
・寺院のイメージアップ
あなたも、機会があればぜひ一度、寺院一体型ホテルや他の新しいビジネスモデルを体験してみてはいかがでしょうか?きっと、その経験をヒントに新しいビジネスのひらめきに出会えるかもしれません。
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