【プロダクト3層モデル図鑑100】022_羊羹

【プロダクト3層モデル図鑑100】022_羊羹

新しいビジネスを立ち上げようとしている方へ。どんなに素晴らしいアイデアでも、顧客に「選ばれる理由」がなければ成功は難しいでしょう

今回は、プロダクト3層モデルを使って羊羹という伝統的な商品のビジネスを徹底解剖し、その成功の秘訣を、あなたの事業アイデアに活かせるヒントとしてご紹介します

羊羹のプロダクト3層モデル

1. 中核の価値:あなたのビジネスは、顧客のどんな「本質的な欲求」に応えますか?

羊羹は単なる「和菓子」ではありません。顧客は「甘さ、風味、食感を味わいたい」という、味覚的な満足感や、リラックス・贈答といった感情的価値を手に入れています。

ビジネスへのヒント

あなたのビジネスが提供する究極の価値は何でしょうか? 「家計の不安をなくす」「新しい趣味で人生を豊かにする」「自信を取り戻す」など、顧客の感情や根本的な課題に焦点を当ててみましょう 。この核となる価値が明確であれば、事業の方向性がブレることはありません

2. 第2層:形態(見える部分)

この層は、顧客が直接見て、触れて、利用するサービスや商品の具体的な要素です 。中核の価値を形にする重要な部分です

機能

羊羹の機能として、嗜好品としての食用、贈答品としての役割、茶道のおもてなし、非常時の保存食としての側面があります。

品質

材料(小豆、砂糖、寒天)の質、滑らかな舌触り、上品な甘さ、職人による安定した品質が、商品価値を決定づけます。

デザイン

伝統的な木箱や包み紙、羊羹の形状や切り口の美しさ、和の色彩などが、商品の高級感や贈りものとしての価値を高めます。

ブランド

老舗の歴史と信頼、特定の産地や原材料へのこだわり、皇室御用達などの権威が、羊羹のブランド力を構成します。

3. 第3層:付随機能(見えない部分)

この層は、顧客体験をさらに豊かにし、リピーターを増やすための「見えない」要素です 。競合との差別化を図る上で特に重要になります

価格

原材料や職人技による高価格帯の贈答品から、日常使いの手頃な価格帯、贈答用の特別価格まで、用途に応じた価格設定があります。

提供チャネル

顧客は、和菓子専門店、百貨店、駅の土産物店、オンラインストア、お茶会などを通じて羊羹を購入・利用します。

関連サービス

メインの商品販売に加えて、和菓子教室、抹茶体験、茶器の販売など、和の文化や食体験全般を提供するサービスを提供することで、顧客満足度を高めます。

保証・サポート

賞味期限、原材料表示、アレルギー情報に加え、贈答用の包装や熨斗(のし)の対応など、購入後の安心と利便性を提供するサポート体制が重要です。

パートナー

小豆農家、砂糖メーカー、和紙メーカー、百貨店、茶道教室など、原材料から販売、文化までを支える多様なパートナーと連携しています。

カスタマイズ

名入れ、オリジナルパッケージ、贈答用熨斗など、顧客の用途や想いに合わせたカスタマイズサービスを展開することで、顧客ロイヤリティを高めることができます。

まとめ:あなたのビジネスを「3層モデル」で再構築しよう

新しいビジネスを考えるとき、ついつい「何を作るか」という機能に目が行きがちです 。しかし、本当に成功するビジネスは、顧客に提供する「中核の価値」を明確にし、それを「見える部分」と「見えない部分」のすべてで一貫して表現しています

この羊羹の事例を参考に、あなたのビジネスアイデアをプロダクト3層モデルに当てはめて、顧客に選ばれる理由を一つひとつ組み立ててみてください