「あえて不便に」がビジネスチャンスに?飲みづらいビアグラスから学ぶ新常識

「使いやすい」「便利」を追求するのが、これまでのビジネスの常識でした。しかし今、その真逆をいく「飲みづらいビアグラス」が、多くの消費者の心をつかんでいます。
一見、非効率に思えるこの商品がなぜ成功したのか。そこには、新しいビジネスのヒントが隠されています。今回は、「飲みづらいビアグラス」を事例に、これからの時代に求められるビジネスの考え方を3つの視点から掘り下げます。
1. 顧客が求めるのは「機能」ではなく「体験」
「喉越し」や「爽快感」といった機能的な価値を競うのが、これまでのビジネスマップでした。しかし、飲みづらいビアグラスは、この常識に疑問を投げかけます。
本質的な価値の再定義
このグラスが提供するのは、「飲みやすさ」ではなく「味わう体験」です。一口の量を抑えることで、ビールの香りや味わいをより深く、ゆっくりと楽しむことができます。これは、消費者がモノの機能だけでなく、それを使う過程で得られる「体験」に価値を見出している証拠です。
<ビジネスへのヒント> あなたの業界では、本当に「便利」や「早い」が求められているでしょうか? あえて非効率な体験を提供することで、顧客の心を豊かにし、新しい価値を生み出せるかもしれません。
2. 「不便益」が新たな市場を生む
「不便益」とは、あえて不便にすることで得られるメリットのことです。飲みづらいグラスは、まさにこの不便益を巧みに活用しています。
付加価値としての「健康」
ビールをゆっくり飲むことは、飲みすぎを防ぎ、健康的な飲酒習慣につながります。これは、単なる「飲みづらい」という不便さを超えた、「健康的なライフスタイル」という大きなメリットを顧客に提供しているのです。
共感という名のコミュニティ形成
「じっくりと味わう」「健康に気を遣う」といった価値観は、同じ考えを持つ人々との共感を呼び、ブランドへの強い愛着を生み出します。
<ビジネスへのヒント> あなたのビジネスで「不便さ」を逆手に取れないか考えてみましょう。それは、単なるデメリットではなく、顧客の潜在的なニーズに応える新たな付加価値になる可能性があります。
3. 「逆張り」で競合と差別化する
多くの企業が「喉越し」や「爽快感」を追い求める中で、「飲みづらい」という真逆のコンセプトは、競合との差別化に成功しました。
ストーリーと希少性
ユニークなコンセプトは、SNSでの話題性を生み、自然とブランドのストーリーを広めてくれます。さらに、限定生産などのマーケティング戦略と組み合わせることで、「どうしても手に入れたい」という希少価値を演出し、熱狂的なファン層を築いています。
<ビジネスへのヒント> あなたの業界の「当たり前」は何ですか? その当たり前をあえて疑い、逆の視点から新しいアイデアを考えてみましょう。そこから生まれるユニークなコンセプトが、あなたのビジネスを際立たせる大きな武器になります。
「飲みづらいビアグラス」の成功は、機能性だけを追求する時代が終わり、「顧客体験」「付加価値」「差別化」といった、より本質的な価値が重要になっていることを示しています。
あなたの新しいビジネスを考える際、「あえて不便にする」という視点を取り入れてみてはいかがでしょうか?
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