【成功のロジック】「おむつ」を売らずに「時間」を売る。成熟市場の隙間を射抜く「周辺ビジネス」の逆算ロジック

【成功のロジック】「おむつ」を売らずに「時間」を売る。成熟市場の隙間を射抜く「周辺ビジネス」の逆算ロジック

今、スマートフォン本体のビジネスに参入しようと思う企業はあるでしょうか?
言うまでもなく考えるだけ時間の無駄でしょう。

では、どうすればいいのか。スマホ本体という「商品」ではなく、それにまつわる「サービス」を狙うのです。例えば、スマホ修理などです(スマホ修理は緩やかな右肩上がりが続いています)。

今回の題材である「手ぶら登園」も同様です。

紙おむつ市場は、本文の通り世界レベルで大手企業によって寡占されています。そこで、紙おむつという「商品」ではなく、保護者に代わって、紙おむつを保育施設に届けるという「サービス」を展開するのです。

とはいえ、どのように考えればそのような「新しいおむつサービス」が思いつくのか。今回もしっかり掘り下げていきます。


1.市場と競合

紙おむつについて掘り下げる前に、そもそも子育て関連のビジネスにはいったいどのようなものがあるのか、紙おむつを含む子育て関連ビジネス市場を確認しておきましょう。

 

表1 子育て関連ビジネス

 

子育て関連ビジネスは、「保育」「教育」「情報(アプリ、コミュニティなど)」「育児用品」「支援(コンサルティングなど)」の5つのカテゴリーに分類されています。

市場規模は緩やかながら右肩上がりが続いており、2024年時点で約4.3兆円の規模(図1)を持っています。さらに、子育てを含む子ども全体になると約10兆円(損害保険と同規模)にも及びます(図2)。

 

図1 子育て関連ビジネス市場規模推移(単位:億円)

図2 子ども関連ビジネス市場規模推移(単位:億円)

図3 保育園拠点数の推移(参考)

図4 保育所等待機児童数及び保育所等利用率の推移(参考)

出典:子ども家庭庁

続けて、本題である紙おむつ市場を確認しましょう。

 

図5 紙おむつの市場規模(世界、%)

 

紙おむつ市場は、世界レベルで約12兆円。P&Gをはじめ大手10社で約7割を占有。寡占度の高さ、参入の難しさが伺えます。(日本企業はユニ・チャーム、大王製紙、花王の3社)

なお、国内市場はわずか約1,400億円。生産量からも確認できる通り、少子高齢化によって乳児用は減少傾向、大人向けは右肩上がり、トータルでは縮小傾向が続いています。(図2、図3)

続けて、紙おむつに対するニーズを確認しましょう。

 

図6 紙おむつ生産量(国内 単位:100万枚)乳幼児用

図7 紙おむつ生産量(国内 単位:100万枚)大人用

 

 

2.ニーズと問題

表2 紙おむつに対するニーズ

 

紙おむつに対するニーズは、快適性などの「機能性」、「デザイン」、「価格」そして「環境への配慮」などが並びますが、いずれも既存メーカーによって対応済であることは明らかです。ここで発想を一段抽象化し、先述した「子育て」の観点で確認してみましょう。

 

3.子育てのニーズと負担感

 

表3 子育てに対するニーズ

 

子育てに対する主なニーズは、「時間」「情報」「メンタル」「経済」の4つです。さらに、「子育てにまつわる負担」を確認すると、「出費」そして「時間」についてもっとも負担を感じていることがわかります。

 

図8 子育てをして負担に感じること

出典:内閣官房こども家庭庁設立準備室

 

子育てにかかる時間を2016年と2021年で比較すると、合計で1時間以上増加しており、上記の調査と合わせ、「時間」に対するニーズの高さを伺うことができます。

紙おむつについて言えば、紙おむつ自体よりも、それを利用することにかかる時間に対するニーズのほうが高いことが想定できます。

 

図9  6歳未満の子どもを持つ夫婦の育児時間(単位:時間.分)

出典:社会生活基本調査

4.新サービスと余白

紙おむつ自体ではなく、紙おむつの利用にかかる時間を減らしたい。
では、そもそも紙おむつ利用時の悩みを確認すると、時間に直結するのは「交換頻度」であることがわかります。

 

表4 紙おむつ利用時の悩み

 

当然ですが、自宅にいる際の交換にかかる時間は短縮できません。
(紙おむつ自体の利用も既存メーカーによる断続的な改善)

自宅以外で紙おむつが必要になる場面は「保育施設」しかありません。(通常の外出時であれば持参する)つまり、保育施設向けの交換用の紙おむつを用意する時間です。

ここで、保護者に代わっておむつを保育施設に届けるサービス、つまり「代行」ビジネスを見出すことができますが、代行業はさまざまな分野に存在しています。果たして、おむつを届ける代行サービスの余白があるのかを確認しておきましょう。

 

図10 代行業一覧

 

代行業には、「生活」「仕事」「行事」の3つのカテゴリーが存在しています。おむつは「子育て」、生活関連です。抜粋し確認しましょう。

 

図11代行業一覧_抜粋

 

既存の子育て関連の代行には、ベビーシッターなど5つのカテゴリーがありますが、いずれも「商品」ではなく人手による作業の代行です。

おむつという商品を代わりに届けるサービスがないことがわかります。

 

参考.おむつ販売と手ぶら登園のプロダクト3層モデル

 

【おむつ販売】

【手ぶら登園】

まとめ

思考のフローチャート