【成功のロジック】シェアサロン

エアークローゼット。
アパレル業界におけるサブスクの先駆けです。
ファッションアイテムは、SCや百貨店、もしくはECサイトで「小売」するものが一般的でした。
エアークローゼットは、「小売」から「レンタル」へと形態を変え、120万人を超える会員数を誇る規模になっています。
こうした事例は枚挙に暇がありません。
今回の成功事例は、「シェアサロン」。
すでに新しい美容室の形態として定着しています。
美容師を雇用するのではなく、フリーランスの美容師に美容室の設備を貸し出す。
従来の美容室から離脱した形態です。
どのように考えればこのような美容室が考えられるのか、逆算していきます。
「市場」「競合」「顧客ニーズ」を確認するところから始めます。
1.市場と競合
図1 美容室の市場規模

出典:株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー
2.6兆円は、化粧品市場(2.3兆円)を凌ぐ規模。参入対象として十分です。
続けて、市場を形成するプレイヤーです。
表1 美容業界の上位5社

理美容室「PLAGE」を730店舗以上の展開する阪南理美容をTOPに、株式上場5社の売上合計は945億円。市場規模2.6兆円に対してわずか3%のシェアしかありません。
小規模事業者がひしめき合うと言われている通りの実態です。
続けて、「顧客ニーズ」です。
2.顧客ニーズ
図2 顧客ニーズ

利用しない人のニーズのうち、⑤(セルフケア)と⑥(訪問美容)は美容室側として対応はできません。
一通り確認すると、顧客ニーズを起点に新しい美容室を考えることはできない。
そこで一段視点を引き上げ、現行の「美容室」が抱えている問題点を確認します。
3.美容室が抱えている問題
表2 美容室が抱えている問題

「解消できないもの」と「既に解消しているもの」を除くと、残るのは1つめの「人手(美容師)不足」が残ります。
人手不足の実情はどうなっているでしょうか。
美容師免許の登録者を確認すると、コロナ禍が一段落した2022年でも18,000人を割り込んでいることがわかります。
図3 美容師免許の新規登録件数

美容師の新規免許登録件数
出典:公益財団法人 理容師美容師試験研修センター
一方、美容師の受け皿となる美容室の店舗数は、同期間中右肩上がりが続いています。
増加する美容室に対して、伸び悩む美容師の数。慢性的な人手不足に陥っていることは自明です。
図4 美容室の店舗数推移

出典:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例」
では、美容室の人手不足はどのような原因から発生しているのでしょうか。
美容師になる人が減少している理由、辞めてしまう理由の原因を確認します。
表3 美容師が抱える問題

他業界で引き起こる人手不足の原因と似ていますが、RPAなどによる自動化は美容室に当てはまりません。
(補足)表4 美容室の自動化が困難な理由

希望者(美容師)と受け皿(美容室)の反比例、ロボットなどによる自動化も困難。
美容室のビジネス形態自体にこれ以上の変更余地のなさを示しています。
視点を切り替え、美容室のビジネス形態を別のものに切り替えを検討します。
4.労働集約型→資本集約型
美容室はスーパーや工場と同様の労働集約型産業です。
この形態を取り続ける限り慢性的な人手不足から逃れられません。
別のビジネス形態、知的集約または資本集約への切り替えは可能でしょうか。
表5 知的集約型と資本集約型の特徴

知的集約型は成果物の性質上、選択できません。残るは資本集約型です。
資本集約型を持つ主なビジネスには以下のようなものがあります。
表6 主な資本集約型サービス業

美容室に性質が類似しているものは「宿泊業」。
対人接客を必要とすること、コミュニケーション能力が要求される点などです。
宿泊業は設備を提供し、宿泊や宴会などの利用に応じて課金するビジネス。
これを美容業に当てはめると、「美容室の設備を提供し、利用方法に応じて課金する」、つまり、美容室の設備を美容師に貸し出す=「シェアモデル」が導き出せます。
※補足 宿泊業にも同様の形態「ブロック」があります。
海外ではアロット(Allotment)と呼ばれ、「分配・割り当て」を意味するもので、旅行業界では、宿泊施設や航空会社が旅行会社に対し、一定数の客室や座席を恒常的に提供しています。
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