【成功のロジック】セパレートダイアリー

【成功のロジック】セパレートダイアリー

AI、DX、GXというキーワードが百花繚乱するとおり、ビジネスのメインストリームはますますデジタル一色です。では、対極に位置する「アナログ」にはもう可能性はないのでしょうか。

まったくもってそんなことはありません。

むしろ、ほとんどのビジネスプレイヤーがデジタルに目を奪われている今だからこそ、大きな金脈を掘り当てるチャンスとも言えます。

今回事例として取り上げる「セパレート・ダイアリー」もその好例の1つ。

ノートの紙面を上下に分割するという、既存の紙のノートの概念を超えた発想で、新しいカテゴリーになるほど。まさにコロンブスの卵です。

どのように考えればこのような発想ができるのか、逆算していきましょう。いつもどおり「市場」「競合」「顧客ニーズ」から順に確認し、掘り下げていきます。

1.市場と競合

図1 文具市場と上位プレイヤー

紙のノートを含む文具業界全体の市場規模は2.4兆円。
美容業界と同規模です。
ただし、上位10社で9割近くを占めており、参入の難しさが伺えます。

なお、紙のノート単体は市場規模が明らかになっていないため、内需と生産量から市場の推移を確認します。その前に、紙のノートが紙製品全体のいずれに該当するのかを明らかにしておきましょう。

 

表1 主な紙製品の種類

 

紙製品は、新聞用紙をはじめとして、段ボールや紙コップなど多岐にわたります。紙のノートは、このうちの「印刷・情報用紙」のカテゴリーに属しています。(同カテゴリーには、紙のノート以外に書籍や雑誌、コピー用紙などが属しています)
では、印刷・情報用紙の内需、生産量を確認しましょう。

 

図2 印刷・情報用紙の内需

図3 印刷・情報用紙の生産量

単位:千トン
出典:日本製紙連合会

 

日本製紙連合会が発表する統計資料によると、「印刷・情報用紙」は、内需・生産量ともに緩やかな右肩下がり状態が続いています。近年企業などにおけるペーパーレス化推進などの影響が及んでいることなどが伺えます。では、紙のノートに対する需要は期待できないのでしょうか?

2.顧客ニーズ

 

図4 学習に利用するツール(鉛筆等の筆記用具を除く)

参照元:株式会社スフレ
「子どもの学習にノートは使われているのか?」
https://sfre.co.jp/blog/note-survey/

 

教育支援活動を行う株式会社スフレが行った調査によると、子どもが学習時にどのツールを使うかという質問に対して、3割強が紙のノートを利用していることがわかりました。コロナ禍でPCやタブレットの利用が大幅に増えた印象がありますが、それでもなお、紙のノートにはポテンシャルがあります。

 

図5 日常、ノートを使っていますか?

参照元:文房具屋さんドットコム
https://www.bunbouguyasan.com/ekindex.asp?CD=103

 

文具業界の情報発信を行う文房具屋さんドットコムが行った調査によると、学生が中心の10代、20代では7割~8割を、社会人である30代以上でも半数前後が紙のノートを日常的に利用していることがわかっています。スマホを中心にデジタル化が進む中であっても、今なお紙のノートに対するニーズが世代を超えて存在することがわかります。
続けて、紙のノートに対する一般的な顧客ニーズを確認しましょう。

 

図6 紙のノートのニーズ

 

紙のノートに対する主なニーズは4つありますが、いずれも既存の商品(競合)によってカバーされていることは自明です。他にニーズが埋もれていないか、ノートの種類と役割を確認してみましょう。

3.ノートの種類と役割

 

表2 紙のノートの種類

 

紙のノートには、主に学習用、仕事用、日記、アイデアノートの4種類が存在しています。続けて、ノートの役割を確認しましょう。

 

表3 ノートの役割

 

ノートの役割には、「記録」「整理」など4つがありますが、残念ながら既存製品ですべてクリアされています。一部、記録のしやすいノートや情報整理に長けた製品もありますが、差別化要素を見出すことは困難です。

同一カテゴリー内での差別化には限界があります。枠を超え、紙のノートにとって最大の競合であるデジタルノートとの間に差別化を見いだせないか検討しましょう。

 

4.デジタルノートとの比較

 

表4 紙のノートとデジタルノートの比較_01

 

ツールとしての「利用」そして「ハードウェア」の側面から20項目で紙のノートとデジタルノートを比較しました。
デジタルノートはその名のとおり、デジタルデータならではの価値がある一方、紙のノートにはアナログならではの価値があります。
この項目の中で、デジタルノートにできて、アナログにできない項目だけを抽出します。

 

表5 紙のノートとデジタルノートの比較_02

 

フォーカスするため、グレーダウンした部分(紙のノート☓、デジタルノート◯)だけを別表にします。(表6)

 

表6 紙のノートが☓の項目

 

抽出した8つの項目のうち、デジタル限定(アナログでは物理的に不可能な)の項目をグレーダウンします。③、④、⑤。⑦、⑧の5つです。
画像や動画を挿入は不可能ですし、リンクを貼ることもできません。テンプレートは、譜線が記載された音楽ノートなどが一部存在していますが、デジタルノートのように、さらに別の用途にも利用することはできません。

 

表7 紙のノートが☓の項目_02

 

残ったのは、

①検索機能
②情報の共有・編集
⑥マルチウィンドウ表示

の3つです。

このうち、すでに商品として解決されているのが①検索機能、②情報の共有・編集です。(以下表8、表9)複数の文具メーカーから工夫を凝らした商品群がでているため、①、②は排除。
結果、
⑥マルチウィンドウ表示が残ります。

 

表8 検索機能を持つノート

 

表9 スマホ連携ノート

 

5.異なる情報を同時に表示する

 

マルチメディア表示。つまり、紙のノートで複数画面(=頁)を開く。
抽象化すると、1つの場所で「別々」の何かを表示すること。

アナログ世界で参考になりそうなものを洗い出してみましょう。

 

表10 マルチ利用可能なもの


日常生活に欠かせないものばかりですが、すべてに共通しているのは、「上下で分割」し、異なるモノをおいている点。

紙のノートは、左右に開くものですが、さらに上下を加えることで上記商品群のように別々の情報を表示(または記入)することが可能になります。