【ビジネスは他力本願が基本】協力者のしくみとは

【ビジネスは他力本願が基本】協力者のしくみとは

協力者とは何か

協力者とは一緒にビジネスモデルを動かしてもらう参加者、プレイヤーのことです。仕入れ先やパートナー、ビジネスを使ってくれる利用者も当てはまります。

つまり、対価を支払ってくれる顧客以外で、その「儲けのしくみ」を一緒に動かしてくれる存在のことです。

例えば、ニュース専門サイト。
自社のスタッフだけで、新聞社のようにニュースを提供できないとき、協力を求めるのが、記事を提供してくれる人。ライターや専門家です。飲食店のように食材を仕入れるときの商社や農家なども協力者にあたります。

新しいビジネスモデルのすべてを自社で動かすことができれば理想です。しかし、内製では必要なノウハウや人材が確保できないことや、利益面で割に合わない場合があります。

こうした問題をクリアするために、必要となるのが協力者です。

そして、協力者に力を貸してもらうことで、「レバレッジ」が効き、さらにビジネスが自動的に回るように、つまり「ビジネスモデル」の構築を実現します。

ぜひ、今あるアイデアのどこかを誰かに手伝ってもらえないか、イメージしながら読み進めてみてください。

 

協力者に提供してもらうもの

「誰に」「何を」提供してもらうのか。

まず決めるのは、「何を」です。
何を提供してほしいのかが決めれば、おのずと「誰」も決まります。

協力者に提供してもらうものには、次の5つの種類があります。

1.スキル・技術
2.モノ
3.資産
4.情報
5.時間(労働力)

1つずつご紹介していきましょう。 

1.スキル・技術

美容室の美容師、システム開発会社のエンジニア、学校や予備校における講師など、専門的なスキルや技術を持つ人からそのスキルを提供してもらいます。

自社で社員として雇用するのがベターですが、そうすると当然固定費が発生します。また、専門性がある人ですから、当然、単価も高くなりがちですし、昨今の人材不足で、そもそも確保することも難しくなっている面もあります。

そこで、その人を雇うのではなく、その「スキル・技術」だけを提供してもらう協力スタイルです。

この流れで大きく市場が拡大しているのが、クラウドソーシングやシェアリングですよね。時間単位で提供してもらう。提供するほうも、ずっと縛られるわけではないので、気持ちも楽です。

2.モノ

「原材料や商品」を提供してもらう、いわゆる「仕入れ」です。大きく2つのパターンがあります。

1.【原材料】を仕入れ、自社で加工、ターゲットに提供
2.【商品】を仕入れ、販売

1つめが、製造業、2つめが小売または卸売業ですね。
この中間に位置するものもあります。

3.自社の【原材料】(または自社が指定した原材料)を仕入れてもらい、その企業で加工したものを自社が仕入れて、販売する

いわゆる「ファブレス企業」のことです。
自社は企画・設計だけに専念し、そこでデザインされたものを協力者で製造してもらう流れです。

これ以外の仕入方法ももちろんあります。
それが、百貨店や書店ビジネスなどで一般的な「委託販売」や「消化仕入」。

委託販売はあくまで「売る場所」を提供するだけ、消化仕入れは、売れた分だけを仕入れる方法です。

3.資産

個人や企業が持っている資産、例えば、

・車やバイクなどの動産
・ビルや家などの不動産
・工場や機械などの設備資産

といったものを協力者に提供してもらいます。
例えば、今やすっかり一般的になったシェアオフィス。不動産を賃借して、それを分割して個人事業主などに貸し出す。形式上、不動産会社またはその不動産の所有者からその物件を「提供」してもらっていますよね。

シェアリングビジネスを筆頭に、賃貸マンションや、レンタカーなどもここにあてはまります。

最大のポイントは、自社の資産ではないこと。
自分で資産を確保せず、持っている人や企業に提供してもらう協力スタイルです。

4.情報

5つの中で一番費用がかからないがこれです。
すぐにイメージして頂けるのがネット上のアンケート。ほかにも、レポートやニュース、最近なら動画なども当てはまります。

必ずしも協力者に意図的に提供してもらったものとは限りません。例えば、アクセス数や利用情報、購入履歴など、その本人から直接提供してもらっていなくても、入手可能な情報がたくさんあります。POSレジのデータなどはまさに、ですよね。

人が動く部分には、必ずその動きの情報が発生します。
例えば、タクシーに乗った、映画を見た、本を買った、睡眠をとった、レストランに入ったなどなど、すべて情報が生まれます。

5.時間

時間を提供してもらう。2種類の協力者がいます。

1つは利用者、つまりユーザーですね。
ここまでご紹介した協力者とちょっと違うように見えるかもしれません。利用者はただ利用するだけの存在です。
一見すると、何も提供していないように見えますが、あります。

それが「時間」です。

さきほどの情報と合わせて、利用者はその「時間の提供」で協力してくれているのです。

わかりやすい例をあげると、無料で提供されているお天気アプリ。
これを見る人=利用者からは、そのアプリを利用する「時間」を提供してもらっているのです。

何かを提供してもらったら、その対価を支払う必要がありますよね。この場合、天気予報という有益な情報がそれにあたります。民放テレビは基本無料ですが、【見てもらう】対価として、「面白い番組」を提供していますよね。

もう1人の時間提供者

時間単位で労働力、マンパワーを提供してくれる人です。
つまり、働いてくれる人です。
ビジネスにおいて今やもっとも重要な存在です。

時間提供と書いてしまうと、いわゆるアルバイトやパートの方を想像するかもしれませんが、正社員の方も同じです。契約単位が違うだけです。時間と労働力を提供してもらうことに変わりはありません。

協力者から力を借りるもう一つの利点

例えば、西武信用金庫が提供する「3万人の専門家」

「西武信用金庫」
http://www.seibushinkin.jp/

3万人もの専門家がいる。
これ以上ないキャッチ・コピーですよね。

これはそのまま、「強み」になります。
3万人もいるのですから、ありとあらゆるカテゴリーの問題解決に対応できそう、そんなイメージを与えることができます。

もちろん、本来の役割である専門家としての協力もあった上で、です。

ぜひ、単に力を借りるだけでなく、それ自体が差別化の源泉になったり、集客のアピール材料になるよう一工夫加えてみましょう。

インセンティブは必須

いうまでもなく、どの協力者であれ、「インセンティブ」が欠かせません。何を提供してもらうかに関わらず、です。

例えば、もっともオーソドックスな商品や材料の仕入れ。

「定期的な仕入」や他社よりも「大量」に仕入れるなど、自社との付き合うことに何らかのメリットが必要なのです。

さきほどのマッチング系ビジネスでいえば、利用頻度や売上に応じて、手数料などの対価を提供する、といったインセンティブが必要になるわけです。

より強い結びつきを作り、関係性を構築しておくことは、「儲けのしくみ」を安定的に回していくためにとても重要なポイントです。