成熟企業が儲かる方法は、ビジネスの「抽象化」にあり
- 2016.04.23
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様々な業界がすでに「成熟期」にあると言われています。
商品やサービスが行き渡り、新しい需要が生まれにくい。
そのため、利益が生み出しづらくなっています。
では、自社が成熟期にあると感じている経営者はどうすればいいのでしょうか?
本業のコンセプトを「抽象化」しましょう!
抽象化?
言葉は知っているけど・・・そう、ちょっとピンとこないですよね。例を挙げましょう。
日本人が好きなマグロ。私も大好きです。
これを抽象化するとどうなるでしょう?
そう「魚」です。「マグロ=魚」ですよね。
これが抽象化です。
では、なぜこの「抽象化」が儲けにつながるのか。
実際にこの方法を使って、成果を出している企業をご紹介しましょう。
それは岐阜県を拠点に構える「大垣共立銀行」です。
さきにお話ししておきますと、銀行業ほど「成熟化した業界」はありません。
メガバンクから町の信金まで合わせると、全国にその数はなんと500。法律による様々な規制があり、メインのビジネスである「貸付」は「金利の安さ」が唯一の勝負どころです。
お金に違いはありませんから、体力の弱い地方銀行が東京三菱や住友などメガバンクに「金利の下げ合い」で勝てるわけがありません。だからと言って何もしなければ昨今ニュースに流れるように「合併」か「消滅」が待ち受けているだけなのです。
このような厳しい環境の中、大垣共立銀行は「銀行」を抽象化しました。「銀行業=サービス業」と位置付けたのです。
そして、次のような戦略を実行しました。
- 入り口に雑誌が並ぶコンビニのような店構え
→ 雑誌は本当に販売されています。気軽に入りやすくなりますね。
- ドライブスルー併設型店舗
→ 地方は車が必須。買い物ついでに銀行へ立ち寄ることができます。
- ATMは年中無休に
→ まるでコンビニですね。仕事が終わる時間が遅い人でも利用できます。
- 高齢者の多い地域を回る「移動式ATM」車両
→ 過疎地域に住み、足の悪いお年寄りも利用できるようになります。
※ゆうちょへの対抗手段にもなります。
- 行員をテレビ局やコンビニ、スーパーなどに2年間派遣し、サービス業感覚を身に着けさせる。
→ 接客能力が向上し、銀行員の“硬いイメージ”を払しょくできます。
・ 地方銀行初の女性の支店長
→ 女性客が入りやすく、気軽に相談できる銀行になります。
いかがですか。
まさに“サービス業”です。もはや銀行?と思えない業務形態です。
この結果、大垣共立銀行はこの10年間で個人客数を13万人、預金残高を8,000億円も増やすことに成功!
日本経済新聞が発表する全国の銀行ランキングの顧客満足度は地方銀行トップ、全国でも4位。(2014年時点)。しかもトップ10に10年連続で入り続けています。
なお、抽象化だけ終わっては意味がありません。
一旦抽象化したら、今度は「具体化」する必要があります。
具体的に何をするのか。その内容がちゃんと抽象化したコンセプトから外れないように考えることが大切です。
この大垣共立銀行の場合、“サービス業”から外れるような、たとえば「保険商品の売り込み」などを前面にやってはいけません。
サービス業は、優れたサービスの結果、付属の商品を購入してもらえるからです。
「抽象化」が戦いの場を広げてくれるのです
「競合も多いし、だんだん儲かりにくくなってきた・・・・・」
自社および業界が成熟してしまった、そう思ったならばぜひ自社の位置づけを「抽象化」してみて下さい。
抽象化することで、「戦える場所」が広がるはずです。ぜひ、大きな視点でとらえ、新たな売上と利益を勝ち取ってください!
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