「出版」✕「一口馬主」という画期的なビジネスモデルに出会った
- 2024.05.15
- 事例集
先日、一通の問い合わせメールが届いた。
タイトルは、「出版のご相談」だ。
うん?本。
目下、2つの出版社、3冊の執筆に取り組んでいる。
とてもではないがこれ以上、手が出せない。
ありがたい話だが断るしかないなと思いつつ、文面を読み進める。
しかし、すぐ“最初“の違和感を覚える。
1冊まるまるではなく、章立て分だけを書いてほしいとあるのだ。
章立て?
通常本は、何章かで構成されている。
そのうちの章1つだけ書いてほしいという趣旨なのだ。
いったいどういうことだろう?
もう少し読み進めると、その謎はすぐにはっきりした。
要は、複数の著者による共著なのだ。
なるほど、複数の人で書くのか。
たしかにそれなら、章1つ分でいいわけだ。
複数の著者で書かれた本は珍しくない。
大学の出版部門が出す学術系でよくお目にかかる。
ビジネス系でも2人、3人で書かれたものがある。
ただ、章1つといっても簡単なことではない。
本全体のコンセプトに沿うように書く必要があるし、他の著者とのトン・マナもあわせる必要がある。意外と骨が折れる作業なのだ。
うーん、やっぱり無理だなと思いつつ、さらに読み進めるともっと大きな違和感に出くわす。
すでにタイトルは決まっていて、出版する出版社も決まっているというのだ。
???
どういうことだ?
企画が通っていて、もう書くだけ状態ということか?
だとしたら、大きな謎が残る。
著者が決まっていない点だ。
書き手が決まっていないのに、企画が通るとは到底思えない。
ただ、この混乱もさらに読み進めることで解きほぐされる。
要は「自費出版」だったのだ。
参加する著者が按分して費用を持つという。
だから、章1つ分だけを書くという構造になっている。
なるほど・・・・って、おいおい、自費出版かよ。
(非常に失礼極まりない感想だ。すっかり鼻持ちならないクソ天狗状態だ)
自費出版にはあまりいいイメージがない。
出版社にもよるが、数百万から1千万円単位で費用が発生するためだ。
だが、自費出版自体が悪いわけではない。
商業出版に比べ、出すスピードが早いというメリットがある。
(商業出版は最短1年はかかる一方、自費出版なら3ヶ月程度でも可能)
出版社が提供するサービスによっては、「アマゾン」で販売されたり、書店に並べてくれるケースもあり、商業出版とさほど差がないこともある。費用さえ目を瞑ることができ、一刻も早く本を出したいという人にとっては、決して悪くない手段なのだ。
1冊丸ごと自分で出すのではなく、何人かで分担するのか。
これなら費用を抑えつつ、本も出せる。
面白い方法だと思いつつ、「これってまさか」と頭をよぎるモデルがあった。
一口オーナーというビジネスモデル
「一口馬主」という言葉をご存知だろう。
馬1頭まるまる保有することはできないが、口数に分割することで多くの人が馬主になれる制度だ。
この提案はまさにこのモデルだ。
このモデルの典型は「分譲マンション」だ。
分譲マンションが一口オーナー?と思われたかもしれない。
だが、しっかりとしたオーナー制だ。
マンションを1棟丸々所有する人もいることをイメージすればすぐにわかる。
この方法を転用したビジネスモデルがたくさん存在する。
例えば、食べ物だ。
ごまの畑/ごま畑オーナー制度/株式会社 和田萬
https://www.wadaman.com/owner/
みかんオーナー制度/農業法人株式会社秋津野
https://x.gd/vJyK6
養殖昆布オーナー/南かやべ漁業協同組合直販加工センター
http://www.konbunosato.com/owner/
田んぼのオーナーシップ/ふくこめoffice
https://www.fukcome.com/ownership
まさか、この切り口を出版の世界に転用するとは。
斬新すぎる発想だ。
結果として、お断りすることになったが、このモデルを知れたことはラッキーだった。
さらに知識を深めることにつながった。
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