【脱競争】アパレル業界の新しいビジネスモデル
- 2016.04.19
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突然ですが、ZARAやH&Mなどいわゆるファスト・ファッションで服を買ったことがありますか?
ZARAは1998年、H&Mは2008年に日本に上陸。
瞬く間に展開し、現在それぞれ100店舗と50店舗を超え、すっかり私たちの生活になじんだ感じすらあります。
ところが、最近意外な変化がありました。
2015年2月1日、ZARAの銀座マロニエ店がひっそりと閉店したのです。
マロニエ店は、真珠で有名なミキモトの隣、「ボッテガ・ヴェネタ」の向かいにあり、売り場面積600平方メートル。銀座中央通にある銀座店に続く銀座2号店でした。
オープンは2008年。わずか7年での撤退です。
一方のH&Mも昨年11月まで3期連続の増収でしたが、1店舗あたりの売上は2期連続で減少。出店攻勢によって売上拡大を維持している状態。
アパレル業が持つ最大のアキレス腱、「在庫のリスク」。低価格&短期間で新商品を出すことによりこの弱点をクリアしたZARA、H&Mでさえ、かげり始めた。この業界で勝ち残っていくことの難しさを改めて垣間見る出来事です。
ところが、この厳しい競争を横目にとてもユニークな発想で、確実に成長を遂げている企業があるのです。
一体どうやっているのでしょうか。
早速、ご紹介していきましょう。
他業界の考えを持ち込む
高級ブランド品お直し専門のSARTO(サルト)。
この企業は「服」を売っているのではなく、「服のお直し」を専業としています。
売上高は昨年から約3倍に伸び、2ヶ所の工房と3ヶ所の店舗を構えるまでになっています。
「お直し」と言えば、服を買ったとき、パンツやジャケットの裾や丈を直してもらうイメージですよね。
お直し代は、直す箇所にもよりますが、せいぜい500円から2,000円ぐらい。
商店街などで見かける「お直し屋さん」は店舗の大きさもクリーニング店ほどしかなく、とても儲かるビジネスには見えません。
一体、どのような儲けの仕組みがあるのでしょうか。
それは、SARTOが掲げるサービスにその答えがありました。
「服のリノベーション」。
リノベーションとは、不動産用語で「再生」を意味し、中古マンションの内装を変え、使い勝手やデザインを良くし、マンションの価値を高めることです。
SARTOは、サイズが合わなくなったものや、時代とともに見た目が古くなった服を、単なるお直しにとどまらずデザイン変更まで行い、
本来消耗品である服を「不動産」に見立てリノベーションしているのです。
そこまでやると、結構お金がかかるんじゃ・・・
その通りです。
実際、コートやレザーの服など、サイズを直すとなれば3万円以上かかる場合があります。
しかし、新しくレザーの服を買えば、10万以上はするでしょう。
結果、サイズを直して着たほうが安いということで着実にお客さんを増やしているのです。
量を取るか質を取るか
このビジネスは、人の手による作業です。
つまり、在庫のリスクがありません。
高い利益が期待できますが、数をこなすことに手を出してはいけません。
なぜなら、「品質」を落とすことになりかねないからです。
量よりも質。顧客一人一人のリクエストが異なるビジネスでは
このことがとても大切です。
違う場所で戦う
同じ服の勝負でも、「服」そのものではなく、「お直し」で戦う。
さらにそこへ別の業界の考え方をプラスしてみる。
ちょっとひと手間かかりますが、どんな商品やサービスにもまだ
見つかっていない新しいビジネスモデルがあるはずです。
ぜひ、今取り扱っている商品やサービスの「周り」を探し、
新たな売り上げを生み出してください!
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