”グレーゾーン”を狙うビジネスモデル
- 2017.08.24
- 事例集
Nintendo Switchが好調です。品薄状態が続くほか、新作タイトルの初版からPS4などと一緒に対象ハードウェアに並ぶようになりました。
【Nintendo Switchに学ぶ】既存市場で成功する発想法でも書きましたが、このゲーム機の成功ポイントは、【家庭用】と【移動用】の中間を狙ったことにあります。
製品のみならず、サービス業でも同じ手法が登場しました。
オンライン結婚相談所
「エン婚活」
転職情報の大手エン・ジャパンの子会社である「エン婚活」が展開する、オンラインの結婚相談所です。
結婚相談の主流は、旧来からある店舗を構えた相談所とWEBサイト上でのマッチングサイトの2つに分かれていました。
しかし、それぞれ短所がありました。店舗設置型の場合、リアルならではのきめ細かい対応ができる一方で、対応するスタッフの人件費がかかるため、どうしても高い。
WEBサイトはといえば、手軽で費用も安く済む分、悩み相談などがしにくい。まさに一長一短状態でした。
ここへ後発で切り込んできたのが、このサービスです。WEBサイトの費用の安さと、リアル店舗のきめ細かい対応を提供するという代物です。
この仕組を実現するのは、2つ。1つは、豊富なオンライン動画、そして、もう1つは全てのプロセスがWEB完結できるからこそ得られるデータを活かしたサポートです。
これだけではありません。肝心な費用は、登録料9,800円、月額12,000円のみで、成婚料(いわゆる成功報酬)が0。一般的な結婚相談所の場合、成婚料は30〜40万円程度は発生しますが、これがない。
結果、費用体系だけ見ると、スポーツジムと大差がありません。利用者にとってはかなり心理的負担が少なくなります。
7月から本格的にローンチしたばかりですが、早くも紹介可能人数は8,000名を超える勢いです。
なぜ、うまくいくのか
結婚相談所は利用したいが、高い。マッチングサイトだと、自分の悩みや欲しいアドバイスが得られないー
冒頭でご紹介したNintendo Switchも似た市場の性質を狙いました。作り込まれた家庭用ゲーム機で遊びたいが、外には持ち出せない。携帯用ゲーム機だとどうしてもスペックが落ちるー
一見すると、「これは仕方がない」と思いがちです。今回のケース、結婚相談の場合、店舗を構えて運営していれば、その店舗をなくして、全てをWEBに移すのはそもそものビジネスモデルを打ち壊しかねないからです。
つまり、裏を返せば、そこへ参入してしまえば、既存ビジネスを展開している先は容易に入ってこれない。ここが最大の成功ポイントです。
いや、そんなこと簡単にできるだろ?と思われるかもしれません。仕組みそのものは確かに難しいことではありませんが、既存で同じビジネスを展開している場合、それが足かせになるリスクがあります。
例えば、店舗運営しているとすると、新たにこうしたサービスを展開すればほぼ間違いなくカニバリゼーション(共食い)を引き起こします。(スーパーなど多品種の商品を扱うのと異なり、結婚相談の場合、商品は「結婚の機会」の提供のみだからです。)
既存のビジネスで、その提供方法が2つ以上に割れているところをぜひ、探してみてください。その間を埋める手法を確立することで、「新市場形成」と「トンデモない利益」を獲得できるかもしれません。
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