【起業や新規事業の立ち上げ時】本業への影響を減らす考え方とは
- 2016.04.18
- 発想法
- ビジネスモデル発想法
新しくビジネスを始めるとき、これをやっても大丈夫だろうか、今のビジネスに差し障りはないだろうかと迷うことがあります。もちろん、何度も検証を重ねているし、テストマーケティングもやった。でも、不安が残る。
ビジネスに限らず、人間のやることに100%はありません。こうした気持ちになるのも仕方がありません。
とはいえ、不安を抱えたまま、実行するのもやはり気がかりです。一体どうすればいいのでしょうか?
こんなときに是非使って頂きたい考え方があります。
それが「並行稼動」です。
並行稼動とは?
いきなりシステムの世界になりますが、少しだけお付き合いください。
新たに構築したシステムを稼働させることを「カットオーバー」と言います。
システムをカットオーバーするとき、ほとんどの企業では既存のシステムが動いています。社歴の短い企業で、これが最初のシステムということであれば、そういったものはありませんが、多くの企業では既存のシステムが動いている中で、新しいシステムを動かすことになります。
システムについてそれほど詳しくない方でも、ここでピン!ときたはずです。
「大丈夫なのか?新しいシステムを動かして、既存のシステムに影響はないのか?」と。
その通りです。
例えば、新たに営業管理システムを立ち上げるとします。すると、今動いている営業管理システムを止めても大丈夫なのか?営業に関係する経理や人事、物流や在庫システムなどに影響が出たりしないのか?と心配になりますよね。
システムを作り、お客さんに納品する際、一番やってはいけないことがあります。それは、お客さんのシステムを止めてしまうこと。システムが止まるということは、お客さんの業務、ビジネスそのものを止めてしまうことです。下手をすると、お客さんの会社の売上や利益を失いかねず、損害賠償に発展する恐れもあります。
そうしたリスクを避け、他の業務に影響を与えないために行うのが並行稼動なのです。新しく立ち上げたシステムを動かしながら、既存のシステムもそのまま使う考え方です。
要は新旧2つのシステムが動いている形です。しかし、ただ動かしただけでは意味がありません。新しいシステムが本当に動くのかどうかを試す必要がありますよね。
では、どうやって新しいシステムを試すのか。
会社によって違うと思いますが、業務が立て込まない時間帯、例えばお昼時から午後の早い時間などを使うのです。この間だけ業務を新しいシステムに切り替え、少しでもおかしな動きが出たら、素早く既存のシステムに戻す。
こうしておくことで、新しいシステムの具合を試しながら、危うくなれば既存のシステムに戻すことができます。なぜこんな面倒なことをするのか。それは、いきなり、すべてのシステムを新しいものにしてしまうと、動かなったときに大変なことになるからです。
実は、この考え方が、新しくビジネスを立ち上げる際に使えるのです。
例えば、あなたが会社員で副業を始めようとおもったとき。
既存のシステムは、今の会社の仕事に当たります。新しいシステムは、副業ですね。
自分でビジネスを行っている場合も同じです。
いきなり100%の状態で始めるのではなく、「並行稼動」してみる。既存の仕事やビジネスに影響のない範囲で、動かしてみるのです。
その結果、あまりに負荷が大きく、既存の仕事に影響が出てしまいそうだったり、中身の検討が不十分で、見直しするべき点が多かったりした場合、すぐさま止めてしまうのです。こうしておくことで、既存の仕事やビジネスへの影響を最小限に留めることができます。
並行稼動の考え方で最も大切なこと
それは、素早く元に戻すことです。当初の計画と違うなら、一旦切り離して、原因を突き止める。動かしたまま、なんとかしようとすると既存のビジネスにも影響が出てしまいます。
ぜひ、念頭に置いてほしいのが「サンク・コスト」です。埋没コストとも呼ばれます。投資の世界で使う用語ですが、人間は自分がやったことに対して過剰に思い入れがあるため、どれほどマイナス状態になっても引くに引けなくなるというものです。
新しいビジネスを立ち上げるのは、大変な手間や時間、そして費用がかかっています。それをいとも簡単に止めたりするのは、感情的に厳しいものがありますよね。でも、そこはドライに進めてください。
並行稼動を行うことで、既存のビジネスにどのくらいの影響がでるのかを推し量ることができる。
ぜひ、こうした視点を取り入れて、新しいビジネス構築を進めてみて下さい。
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