5分で手術が完了する口コミ評価も高い病院のビジネスモデルの正体は「物流業」だった。
- 2024.04.29
- 事例集
唐突ですが、「粉瘤」という病気をご存知でしょうか?
“ふんりゅう”と読みます。
漢字の印象から、なんとなく怖そうに思えますが、誰もがかかる極めて一般的な良性の皮膚病の1つだそうです。
見た目は、ニキビなどの出来物に似ています。
ただ、そのまま放置しているとどんどん大きくなり、痛みを伴うようになるため、できるだけ早めに切除することが望ましいそう。
この粉瘤が家内の背中にできてしまい、切除する羽目になったのが1年前。もう大丈夫かと思いきや、今年になってなんと再発。
切除した病院で診てもらうと、「再発はよくある」と。
また手術をする羽目になったのです。
いつできますかと聞くと、なんと2ヶ月先。
手術室の予約が埋まっていて、それくらい先になると。
仕方ない、それまで待つしかないなと日々を過ごしていると、また少しずつ大きくなり始めた。これはあかんと、急きょ、別の病院を探すことに。
粉瘤手術がわずか5分で完了?!
グーグルで皮膚科を探すとそれこそ山のように出てきます。
いやはやどこにすればいいのかと迷っていると、家内がこれはどうか、と探してきたのが「粉瘤専門」と銘打った病院。
リンク先のWEBサイトを見ると、なんと粉瘤手術が5分で終わるという触れ込み。
えっ、5分?
素人目にもそんな大変な手術ではなさそうだが、それでも5分はちょっと短すぎるのでは?訝しげに思いながら、口コミサイトを確認するとなんと4.6/5。
新しい病院に行く。
自分ならなおさらですが、大切な家族が行くのも不安な気持ちに駆られます。もし、なんかあったらどうしよう。
大きな病気ではないにせよ、とにかく不安。
しかも、5分で手術が終わると。本当かと。
病院の場所も不安にさせる材料でした。坪単価300万円はしそうな某都内ターミナル駅のすぐ前。なんか、悪どいことでもやってるんじゃないのかと。もう邪推が止まらない。
サクラチェッカー(https://sakura-checker.jp/)も使えないし、結局「博打」なんだなと思いつつ、たまたま家内の職場までの通り道にあったこともあって、受診することに。
で、当日。
仕事で付いていけなかったため、LINEでひたすら連絡を待つ。
「今、着いた」
「これから受診」
次々と家内からLINEが届く。
うーん、早く終わんないかな。
あっという間に5分が過ぎる。
・・・・5分だって言ってただろう。ウソなのか!?
今度は、医療関係に詳しい弁護士探さないといけないのか?
と、だんだん苛立ちが募り始めたころ、
「終わった」
えっ、まさか。
5分ではなかったが、わずか10分ほどのこと。
一体全体どういうことなんだろう。
でも、本当にちゃんと終わったのか。
ちゃんと家内の話を聞かないと安心できない。
帰ってきた家内に、詳しいことを聞くと、評点が高いことも納得。
そのビジネスモデルがよくわかったのです。
医療✕物流
「ちゃんと終わったよ」
と、帰ってきた家内から、1枚の紙を見せられました。
手術後の経過について細かく書かれたドキュメントでした。
手術直後はこう、2日から5日ほど経つとこうなる、2週間後はこうと。想定される限りの予測と必要な対応方法が記載されていたのです。
医療業らしかならぬ手順です。
「どんな感じやった?」
待合室から、診察室、処置室など1つ1つの手順ごとにパーティションで区切られ、順番に進んでいくようになっていた。気がつくと終わってたと。
・・・完全に流れ作業になっているのか。
そして、ドキュメント。
この話を聞いた瞬間、ある業界のイメージが浮かびました。
「物流業」です。
5~10分という極めて短時間で手術が終わるのは、患者を「商品」にみたて、倉庫業のようにタスク分割をしていたからなのです。(患者はパレットで運ぶ必要もないため、その分のコストも不要)ドキュメントはいわば手順書の一部です。
この病院の場所は、坪単価300万円はしそうな某都内ターミナル駅のすぐ前にあるとさきほど述べましたが、この仕組みを知って納得でした。
医療の世界にはない、「オペレーションフロー」が見事に確立されていたからです。
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