【サービス業で儲ける秘訣】コーヒーもスイーツも出さない喫茶店の正体とは
- 2016.04.16
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日本がものづくり大国と言われたのはすっかり昔のこと。
今では全ビジネスの約7割がサービス業に該当すると言われています。
ここまでサービス業が広がったのは、業態により多少違いもありますが、比較的参入しやすいという背景があります。
つまり、参入しやすいということは「簡単にマネをされお客を奪われてしまう」、というリスクがあるということです。
では、“サービス業”で儲けるには一体どうすればいいのでしょうか?
そんなときは、どんどん「引き算」をしましょう!
「引き算?それってサービスを減らすっていうこと?
そんなことして大丈夫なの?」
はい、大丈夫です。「引き算」で成功している企業は意外とたくさんあるのです。では、さっそく事例に参りましょう。
コーヒーもスイーツも出さない「喫茶店」の正体
ご紹介するそのビジネスは、JR神田駅前にある、
「kanda lounge」
http://kanda-lounge.com/
勉強や仕事で使う個人向けスペース貸しのビジネスです。
場所は、JR神田駅から歩いてなんと30秒!
90人分の席があり、とても広々としています。ソフトドリンクが飲み放題で、喫煙スペースまであります。
気になる利用金額ですが、30分円250円。しかも最大1,250円以上かかりません。つまり、2時間半以上はいくらいても値段は同じというシステムなのです。
このラウンジの最大の特徴は「食事メニュー」がないこと。
勉強や仕事で長時間利用可能な、いわゆる「ノマドカフェ」と呼ばれるこのような形態では、「客単価」を引き上げるため、食事が提供されているのが一般的です。
ところが、この神田ラウンジでは“持ち込みがOK”である代わりに、食事の提供がないのです。まさに「引き算」です。
「場所だけを貸して食事を提供しない。じゃ、売上や利益はどうなるんだ?」
気になりますよね。
ちょっと計算してみましょう。
まずコストです。
初期費用)保証金、椅子・テーブル90席分
月次費用)家賃、水道光熱費、人件費
“キングオブコスト”である家賃は、神田近辺での平均坪単価は約14,000円/月。預託金が70,000円/坪ほどです。
仮に広さが50坪だとすると、月次にかかる費用は、人件費2人分も入れてざっくり170万円になります。
肝心な売上はどうでしょう?
1時間あたり30人が利用(稼働率30%)とすると、営業時間10時間で、
500円×30人×10時間=150,000円。
この水準に達すれば、なんと13日目からあとはすべて利益になるのです。
このような計算が成り立つのには理由があります。
それはコストが固定しているということです。家賃も人件費もすべて毎月一定。飲食にかかる仕入がないため、売上によって変化する「売上原価」がありません。
つまり、売上をひたすら伸ばし、毎月かかる費用を超えれば、あとは儲かる一方というカラクリなのです。
売上が伸び始めると、つい単価を上げようと「食事類」を出しそうになりますがこれはいけません。
売上は上がりますが、店内が騒がしくなったり、スタッフへの教育も複雑になるなどコストが増えるリスクがあります。また雰囲気が変わることによって仕事に集中したいと考えている既存のお客さんが離れるリスクもあるのです。
当初計画したコンセプトはよほどのことがない限り、維持しましょう。
既存にあるものから、何かを「引き算」してみる。
今、顧客は過剰なサービスに飽きていると言われています。
なんとか顧客を引き留めようとあれこれサービスを増やすのではなく、バッサリとやめてみる。
この結果、管理コストや売上原価が減り、売上計画が読みやすくなります。
今の既存ビジネスから何が引き算できるか、ぜひ考えてみてください。必ず、安定した経営につながるはずです。
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