「出版」✕「一口馬主」という画期的なビジネスモデルに出会った

「出版」✕「一口馬主」という画期的なビジネスモデルに出会った

先日、一通の問い合わせメールが届いた。

タイトルは、「出版のご相談」だ。

うん?本。

目下、2つの出版社、3冊の執筆に取り組んでいる。
とてもではないがこれ以上、手が出せない。
ありがたい話だが断るしかないなと思いつつ、文面を読み進める。

しかし、すぐ“最初“の違和感を覚える。
1冊まるまるではなく、章立て分だけを書いてほしいとあるのだ。

章立て?

通常本は、何章かで構成されている。
そのうちの章1つだけ書いてほしいという趣旨なのだ。

いったいどういうことだろう?
もう少し読み進めると、その謎はすぐにはっきりした。

要は、複数の著者による共著なのだ。

なるほど、複数の人で書くのか。
たしかにそれなら、章1つ分でいいわけだ。

複数の著者で書かれた本は珍しくない。
大学の出版部門が出す学術系でよくお目にかかる。
ビジネス系でも2人、3人で書かれたものがある。

ただ、章1つといっても簡単なことではない。
本全体のコンセプトから沿うように書く必要があるし、他の著者とのトン・マナもあわせる必要がある。意外と骨が折れる作業なのだ。

うーん、やっぱり無理だなと思いつつ、さらに読み進めるともっと大きな違和感に出くわす。

すでにタイトルは決まっていて、出版する出版社も決まっているというのだ。

???

どういうことだ?
企画が通っていて、もう書くだけ状態ということか?

だとしたら、大きな謎が残る。

著者が決まっていない点だ。
書き手が決まっていないのに、企画が通るとは到底思えない。

ただ、この混乱もさらに読み進めることで解きほぐされる。

要は「自費出版」だったのだ。
参加する著者が按分して費用を持つという。
だから、章1つ分だけを書くという構造になっている。

なるほど・・・・って、おいおい、自費出版かよ。
(非常に失礼極まりない感想だ。すっかり鼻持ちならないクソ天狗状態だ)

自費出版にはあまりいいイメージがない。
出版社にもよるが、数百万から1千万円単位で費用が発生するためだ。

だが、自費出版自体が悪いわけではない。

商業出版に比べ、出すスピードが早いというメリットがある。
(商業出版は最短1年はかかる一方、自費出版なら3ヶ月程度でも可能)

出版社が提供するサービスによっては、「アマゾン」で販売されたり、書店に並べてくれるケースもあり、商業出版とさほど差がないこともある。費用さえ目を瞑ることができ、一刻も早く本を出したいという人にとっては、決して悪くない手段なのだ。

1冊丸ごと自分で出すのではなく、何人かで分担するのか。
これなら費用を抑えつつ、本も出せる。

面白い方法だと思いつつ、「これってまさか」と頭をよぎるモデルがあった。

一口オーナーというビジネスモデル

「一口馬主」という言葉をご存知だろう。
馬1頭まるまる保有することはできないが、口数に分割することで多くの人が馬主になれる制度だ。

この提案はまさにこのモデルだ。

このモデルの典型は「分譲マンション」だ。

分譲マンションが一口オーナー?と思われたかもしれない。
だが、しっかりとしたオーナー制だ。
マンションを1棟丸々所有する人もいることをイメージすればすぐにわかる。

この方法を転用したビジネスモデルがたくさん存在する。
例えば、食べ物だ。

 

ごまの畑/ごま畑オーナー制度/株式会社 和田萬
https://www.wadaman.com/owner/

みかんオーナー制度/農業法人株式会社秋津野
https://x.gd/vJyK6

養殖昆布オーナー/南かやべ漁業協同組合直販加工センター
http://www.konbunosato.com/owner/

田んぼのオーナーシップ/ふくこめoffice
https://www.fukcome.com/ownership

まさか、この切り口を出版の世界に転用するとは。
斬新すぎる発想だ。

結果として、お断りすることになったが、このモデルを知れたことはラッキーだった。
さらに知識を深めることにつながった。