SPAはユニクロの専売特許じゃない!新しい八百屋の仕組みとは?
- 2017.09.06
- 事例集
新しいビジネスモデルを考える視点の1つに、他業種で成功済の「仕組み」を応用する、というのがあります。
つまり、仕組みの上に載せる「商品やサービス」だけを変える方法です。
この方法の素晴らしい点は、その仕組み自体を検証する必要がないこと。注意を払うのは、商品やサービスの需要やクオリティなどに絞られること、です。
この方法で、見事な成果を出している事例をご紹介しましょう。
SPA型の八百屋?!
「旬八青果店」
http://shunpachi.jp/
株式会社アグリゲートが展開する、新しい八百屋さんです。
一昔前までは、普通に近所にあった八百屋さんですが、牛乳屋さん、豆腐屋さん、酒屋さんなどと同様に、今では見つけるのが難しいほどに減ってしまいました。
そこで登場したのが、この事例です。
なんと、その仕組みに利用されているのは、ファッションの世界では一般的な「SPA=製造小売業」スタイル!
SPAとは、簡単にいえば、「作ることから売るところまでを一気通貫でやる」ビジネスモデルです。
従来の八百屋さんは、卸売から仕入れて、それを販売するだけでした。それをこの事例では、全国の産地市場と都内を独自の物流機能で結び、新鮮な野菜や果物を適正価格で提供できる仕組みを構築したのです。
まさに、野菜・果物版の「ユニクロ」と言えます。
その成果は、すでに出ており、目黒や五反田、赤坂といった都内中心部で10ヶ所展開しています(2017年現在)。
なぜ、うまくいくのか
うまくいく理由は2つ。
1つは、カテゴリーを絞り込んだこと。
この点は、まさにユニクロと同じです。
服に絞り、かつトレンドに左右されるものではなく、いつも身につける日常的な衣料に絞り、さらに高品質を付加して今や世界企業になっています。
絞りこみは、結果として「高い参入障壁」を築いてくれ、安定した事業運営を実現してくれます。
2つめは、同じ商品で「横展開」していること、です。
青果店では、野菜や果物だけではなく、それらを使ったお弁当の販売も行っているのです。
先ほど挙げたような都内中心部では、お昼を食べられるところはいくらでもあります。でも、新鮮な野菜を使ったお弁当は?となるとなかなかありません。
健康志向は依然根強く、お昼時のビジネスパースンにはもってこいでしょう。
野菜や果物をそのまま売るだけではなく、それをお弁当に転用する。こうすることで、当然、「食材のロス」を減らすことに繋がります。
この方式は、お肉屋さんによる「焼肉屋さん」や豆腐屋さんによる「豆腐料理屋さん」と同じ方式です。いずれも販売用に仕入れが発生しているので、仕入れ関連のコストを減らすことも実現できます。
他業種で成功済の仕組みを転用して、そこへ異なる商品やサービスを載せる。これほど確実な方法はありません。あとは、手堅い需要を持つ商品やサービスを採用するだけ。構築には当然時間もコストもかかりますが、一定規模を作り上げれば、そう簡単には崩れません。安定した利益&キャッシュ・フローをもたらしてくれるでしょう。
ぜひ、他業種で運営されている仕組みで、どれか転用できるものはないか探してみてください。きっと、これまでとは比べ物にならないほどの莫大な利益を生み出してくれるはずです。
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