就活から「肩苦しさ」を取り除いた新しいビジネスモデル

   

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就活は企業にとっても就活生にとっても、一大事です。ところが、入社しても思っていたのと違い、辞めてしまう人の比率は、なんと30%以上に登ります。

turnover(平成27年度新規学卒者の離職状況:厚生労働省)

採用側からすれば、多大なコストかけても3分の1が辞めてしまう。
そういった行き違いをなくし、お互いにとって有益な採用方法はないものか。そうしたことを背景に誕生した新しいビジネスモデルがあります。

 

新しい就活方法

「ベツルート」
http://betsuroute.com/

従来から脈々と続く「就活スタイル」を全面的に否定し、斬新な方法で採用担当者と就活生が出会う場所を提供するサービスです。

否定したのは、
リクルートスーツ、エントリーシート、企業説明会、面接

どれも就活には欠かすことの出来ない要素ばかりです。

これらの要素を取り除く代わりに、このサービスが提供しているのが、なんと「占い」や「くじびき」!なのです。さらには、バーベキューやスイーツパーティ、果てはサバイバルゲームなどで就活生と採用担当者が出会うといったまさに前代未聞の就活スタイルです。

このサービスが主張するのは、「偶然性」。

計算高く、綿密に就活を行なっても、やめてしまう。企業を知名度だけで選んでしまう。こうしたことは就活生、採用企業の双方にとって不幸でしかない。

くじ引きや占いなどによって、知らなかった企業と出会う。バーベキューやサバイバルゲームを通じて、規制的な採用方法では見ることのできなかった学生の違う一面に触れるという新しい付加価値なのです。

従来からあるものを否定することで生まれる新しいビジネスモデル

事例のようなビジネスモデルで思い出されるのが、LCC(格安航空)です。旧来からある航空サービスの多くを取りやめることで、全く新しいビジネスモデルが確立されています。

こうしたビジネスモデルを考えるときに必要な視点

まず、そのビジネスの基本的な付加価値は何か。
これを洗い出すことから始まります。

航空会社の場合、「飛行機」という手段を用いて、「人や荷物」を国内や国外なd遠方へ「届ける」ことです。これが基本的な付加価値です。
この基本を外してビジネスモデルを考えることはできません。

就活の場合はどうでしょう?
「就職をしたい=就活生」と「採用したいと考えている企業」を結び付けること。これが基本的な付加価値です。

こうした基本的な付加価値の上に、どんな付加価値を付けるか(アドオン)。LCCの場合、「安い」という付加価値を付け、成功しています。
一方、事例の場合、「就活武装をしなくてよい」というこれまでにない付加価値です。

気をつけたい点

基本的な付加価値の品質です。
ここが成り立たないといくら魅力的な追加の付加価値を付けても、ビジネスとしては決して成り立ちません。

LCCの場合、航空サービスとして、「安全であること」「定刻どおりに離発着すること」などは、基本的な付加価値に決して欠かすことはできません。いくら安かろうが、やたらと遅れたり、エンジントラブルを起こしたりするような航空会社を誰も使いたいとは思いません。

そしてもう1点。
削ぎ落とした分、どこかで別の収益手段を考えておく必要があります。

事例の場合、あくまで手法を変えただけですので、「マッチング」による収益そのものは変わりません。

一方、LCCの場合、「安さ」が追加の付加価値。これを実現し、維持するために別の収益手段も必要です。例えば、会員制スーパーのコストコのように、商品の売上による収益は捨てて、代わりに「会費」で十分な利益を確保するなどです。

新しい手段を提供することで、今までにあった何かを削り落とす場合、それが収益に影響するのでれば、こうした「別の収益手段」を確保しておくことが欠かせません。

就活市場

少子高齢化の言葉どおり、大学生の数は、2011年(平成23年)の289万人をピークに、約1万人づつ減り続けています。とはいえ、平成26年時点で285万人。まだまだ十分な市場です。
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一方で、Yahoo JAPANが、新卒の一括採用を取りやめるというニュースも流れました。

ヤフーは新卒の一括採用を廃止する。10月から新卒や既卒、第二新卒などの経歴にかかわらず30歳未満であれば誰でも通年応募ができるようにする。技術者や営業職など全ての職種が対象で、1年で300人程度を採用する計画だ。海外留学生や博士号取得者の就職活動時期の多様化に対応するほか、新卒以外にも平等に採用機会を提供し優秀な人材を確保する。

経歴を問わない「ポテンシャル採用」を新設する。入社時の年齢が18歳以上30歳未満が対象。入社時期は就業経験のない人は4月と10月、就業経験者はいつでも入社できる。応募から2年以内に入社することが条件。就業経験が十分ではなくても、将来性のある人材を確保しやすい採用形態に切り替える。

これまで実施してきた中途採用や博士号取得者など特殊技能を持つ人材の採用枠は継続する。ヤフーは週休3日制の導入を検討するなど、採用や働き方の見直しを急いでいる。“  2016/10/3 1:10日本経済新聞 電子版

市場の大きさが十分であるといいつつも、減少傾向にあるのも確かです。ヤフーが新卒に絞らないようにしたのもこうした背景があるからでしょう。

とはいえ、事例の方法とは違った手法を構築し、切り込んでいくチャンスはまだまだありそうです。ご紹介したように、「他業界」で用いられている手法が使えないかぜひ、考えてみて下さい。トンデモない金鉱脈を発見できるかもしれません。

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