新しいビジネスモデルを発想する「6つの視点」

   

Carpentry, construction hardware tools collage.
ビジネスモデルを考える6つの視点を事例を交えながらご紹介します。
特に、「新しいサービス業」を生み出す上ではかなり役に立ちますので、ぜひ参考にしてください。

 

6つの視点

 

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特殊な発明を除く、殆どのビジネスモデルはこの6つのどこかをチェンジしたものです。順にご紹介していきましょう。

1.顧客

顧客をどう変えるのか。
例えば、次の3つの方法が考えられます。

1)買わない客をターゲットにする
2)利用者ではない人をターゲットにする
3)層を変える

1は、格安メガネチェーンの事例が有名ですね。
従来、メガネを掛けなかった人たちに「ファッション」として低価格でメガネを提供するコンセプトで成功しました。

2は、介護事業がわかりやすいでしょう。
利用者は年配の要介護者。一方、施設利用を決めるのは家族です。
子ども向けの商品も同様ですね。購入者は親や祖父母。利用者は子どもです。

3.2とよく似ていますが、従来の利用者層とは別の層に提供することです。例えば、介護施設向けのレクリエーション。ゲームやおもちゃ=子どものものという発想を変えて成功しています。

年齢層だけではありません。
男性向け化粧品のように、「性別」を変える。
国内で成功したものをアレンジして、「国」を変え、海外や訪日旅行者に提供する。

このように少なくとも「年齢軸」、「性別軸」、「地理軸」の3つに変化させることができるでしょう。

2.商品・サービス

商品・サービスのチェンジ・ポイントは少なくとも次の4つが考えられます。

1)簡略化
2)無料化または低価格化
3)イージーオーダー
4)コンセプト・チェンジ(別の付加価値を付ける)

1)簡略化
これは手順を減らすだけで生まれ変わるビジネスモデルでもご紹介しているとおり、既存のビジネスにある手続きや、手順を減らすことです。

この事例で最も有名なのがQBハウスでしょう。
従来の理容室の流れを6分割し、普通60分はかかる散髪を「カット」に絞り込み、必要な時間を10分にして価格を1000円に均一化し、成功しました。

あまり言われていないことですが、ここに財務のトリックがあります。10分で1000円ということは6倍すると、6000円ですよね。

ここで少し立ち止まってみてください。6000円ということは美容室並です。

10分1000円=ああ、安いなと思いがちですが、逆算し、時間単価で考えると、10分で1000円はかなり利益率が高いことが想像できます。

ここがこのビジネスモデルのミソです。

2)無料化または低価格化
従来費用のかかっていたものを無料化、または低価格化することです。一時流行った、フリーミアム戦略がまさにこれですね。

この方法を取るときに注意したいのが、「無料化」した分の収益カバーの手段です。売上を伸ばしたいからといって、安易に無料化したり価格を下げるのではなく、その分をどこかで確保する仕掛けが必要です。

例えば、【運用コストは0円】アナログで見つけた秀逸なビジネスモデルでご紹介している「知るカフェ」が好例です。
カフェでありながら、飲み物はタダ。しかし、きちんと別のところでキャッシュを確保しています。

3)イージーオーダー
ユニクロやGUが今、こぞってイージーオーダーの展開をしています。もはや「安い」「品質」が良いだけでは満足しません。
そこに「個性」も要求される時代です。

とはいえ、これをフルオーダーでやっていては採算が合いません。仮にできたとしても、売れるような価格では提供できないでしょう。

そこで使えるのがイージーオーダーです。
基本的な「パターン」を用意しておき、その中から選んでもらう。最近はなかなか見なくなりましたが、古い定食屋にあった「小鉢」と同じ考え方です。

イージーオーダーといえど、ある程度パターン化しておくことでコストコントロールが可能な上、従業員への教育もフルオーダーのような属人的なスキルに頼るリスクも減らすことができます。

4)コンセプト・チェンジ
これが一番オススメしたい方法です。

成熟企業が儲かる方法は、ビジネスの「抽象化」にありでもご紹介しているとおり、あらゆる業界が成熟期もしくは衰退期にある今、必要になるのがこの考えです。

商品やサービスを新たに生み出すことではない、というのがポイントです。商品やサービスが持つ「意味」を捉え直す。
これがコンセプト・チェンジです。

コンセプトを変えることで、そう簡単にはマネできない「差別化」が実現します。

わかりやすい事例では、テーマパークがあります。
次に上げるテーマパークはすべて「コンセプト」が異なります。

・東京ディズニーランド
・ユニバーサル・スタジオ
・よみうりランド
・長島スパーランド
・富士急ハイランド

TDLはいわずと知れた、「魔法の国」ですね。
USJは、映画の中の世界が体験できること、よみうりランドは企業とのコラボ、富士急ハイランドは、最恐とも言われるお化け屋敷やジェットコースターなど突出した「驚き」がコンセプトです。

同じテーマパークといってもこのようにまったく異なるコンセプトを持っているのです。

コンセプト・チェンジの優れた点は2つ。一つは「お客さんがそのように認識してくれる」こと。恐怖体験をしたい人がTDLを選ぶことはありません。

そしてもう一つが競合がマネしづらいこと。
コンセプトを似通わせるということは、そのまま本来自社が持っているコンセプトを丸々捨てることに他ならないからです。また、マネをすることで利益は間違いなく「食い合い」を起こします。

商品の機能や個別のサービス内容に手をいれる前に、ぜひ、コンセプトの見直しを図ってみてください。

3.価格軸

「高価格帯」「中価格帯」「低価格帯」だけではありません。
ここに「分割」と「別枠」も付け加えてください。

分割はその名の通り、「割賦販売」です。
別枠は、コストコのような「会員制」による商品販売とは別に収益を得ること。第三の収益源を持つことで、商品販売では”利益を傷つける怖れ”がなくなります。

さらに忘れてはいけないのが、かのアマゾンが得意とする「レベニューシェア・マネジメント」です。

レベニューシェア・マネジメントの基本的な方法は、買いやすい価格の商品(利幅は少ない)+その商品に欠かせない追加アイテム(利幅が多い)の組み合わせです。

ハンバーガーチェーンのポテトやコーヒーチェーンのお代わり半額、スーツの2着目がこれに相当します。

単純に値段を上げる、下げるだけではなくぜひこうしたアレンジも加えてみてください。

4.場所

売る場所です。
2つに大別できます。「アナログ」と「デジタル」です。
アナログでは、自社の店舗、他社の店舗の2つに分別できます。
デジタルも同様。自社サイト、他社のサイトに別れます。

例えば、【人件費を限りなく0へ】人を雇わないビジネスモデルで紹介しているような美容室のスペース貸しなど。

必ずしも自力で店舗を構える必要はありません。
扱う商品やサービスの性質に応じて、どう変化させることができるか、ここがポイントです。

さらに従来の売り場とは違う場所で売る方法も考えられます。例えば、今はすっかり姿を消しましたが、一時あった「雑誌の袋とじ」。バックや化粧品、ダイエットツールなどが本に挟まれ、書店やコンビニに置かれていました。商品を売る場所を変えた事例の一つです。

もう一つ。iPadで魚を売るというやり方もありました。
魚を売る場所は、「スーパー」「魚屋」とは限らない。
こうした発想の転換もぜひ、試みてください。

5.時間

【時間】をアレンジしたビジネスモデルでもご紹介しているとおり、提供時間には工夫を凝らす余地がのこっています。

・年中無休
・週末
・深夜・早朝

実際、週末しかオープンしない「スーパー」があります。
金・土・日の3日間だけ。月〜木はお休み。
半分以上休んでも大丈夫なのかと思われるかもしれませんが、1週間まるまる開店しているときとほぼ変わらない売上があるそうです。

お客さんは不便に感じないのか?
お客さんは「あの店は週末だけ」と認識して、やってくるそうです。

週の半分を休みにすることで「人件費」や「家賃」などの固定費を大幅に減らせ、売上がさほど変わらないことから、利益は大幅に増えたそうです。

さて、時間にはもう一つの側面があります。
顧客に届けるまでの「提供にかかる時間」です。今なら、ドローンや専用配達BOXの設置といった方法があるでしょう。

これ以外にも、「他社のインフラを利用」する手段も考えられます。必ずしも自社ですべてを構築する必要はありません。

他社の優れたインフラを利活用することで、自社で提供するよりも「時短」の実現が可能になり、お客さんへの貢献がUPします。

6.プロセス

自社の商品やサービスをどのようなプロセスで提供するか、です。

ビジネスモデルの有名なケースでは、古くはDELL、近年ではユニクロやニトリのSPA、ヤマト運輸の配送基地などがあります。
プロセスには大きく「業務・生産・物流プロセス」があります。

プロセスは、差別化を図る上でもっとも重要な要素です。
なぜなら、一度構築してしまえば、他社が追随しづらいからです。

他社がそのプロセスを模倣するためには、大きな「スイッチングコスト」がかかります。
例えば、高額商品を提供する企業が、SPAに転じようと思えば、生産・物流など組織全体の見直しに迫られます。

また、模倣してしまえば「同じ土俵に乗る」リスクも発生します。
もちろん、大手企業のように相手を潰すために「意図的に模倣するケース」もありますが。

いずれの方法を取るにせよ、もっとも肝心なことはプロセス全体で差別化が実現しているかどうか、です。

単に、「業務を実行するためだけ」の視点でプロセスを構築するのはあまりにもったいないです。どうせ、同レベルのコストや時間がかかるのですから、ぜひ「差別化」できるプロセスを構築してください。

お金を極力かけずに構築するプロセス

大手企業の事例で終わっては、このブログの趣旨に合いませんので、お金を極力かけずに差別化できる「プロセス」の事例をいくつかご紹介しましょう。

1)最速で提供する
2)一歩踏み込んで提供する
3)わかりやすさを提供する

時間がかかっても許されるサービスは、役所くらいです(笑。
最速で提供するために、業務をどのように変えればいいのか。
この視点で構築するのです。

残念ながら意外と多いのが、「結果的にそういう形になった」オペレーション。お客さんからのリクエストや、不要なトラブルを避けるために積み重ねていくうちにそうなってしまった。

もちろん、いきなりすべてを作り変えることは難しいかもしれません。しかし、今1週間で提供しているサービスを3日に短くすることができたら、十分すぎる付加価値になります。

生産や物流の面でこれを実現しようとすると、当然大きな投資が発生します。ですので、あくまで手続きなど業務オペレーションでの短時間化ができないか、これを探ってみてください。

2つめ。一歩踏み込んで提供する。
現在、年配者の一人暮らし向けに「買い物サービス」が流行っています。とくに地方では欠かせないビジネスインフラになりつつあります。

都心では、ヤマト運輸が始めた「エキナカ」の受け取りBOXなどもそうでしょう。要はお客さんのいる場所に一歩近づく手段です。

スマホ全盛の今、お客さんに「来てもらう」と考えるのは難しいと考えるべきです。

3つめ。わかりやすさを提供する。
これで成功を収めているのが、弁当宅配の「玉子屋」さんです。
メニューは一種類。忙しく、いちいちお昼のメニューを考えたくない人はたくさんいます。そこでメニューから「選ぶ手間をなくしてしまう」。これで見事な成功を収めています。

複数の要素を変えるのもアリ

ご紹介した6つの要素は、いずれか一つだけではなく、2つもしくは3つチェンジさせることもありです。どれか一つを変えた結果、別の要素が変わることもあります。

さきほど挙げたQBハウスも、プロセスを変えた結果、価格が変わり、提供場所も客足の多いエキナカや駅前になっています。

なお、6つすべてを変えては意味がありませんのでご注意を。
6つすべてを変えてしまうと、「既存ビジネス」とはまったく違うものになってしまい、結果、お客さんが認識しづらくなる怖れが出てきます。

人間は100%知らないものと、100%知っているものについては興味が湧きません。
この点に留意して、6つのうちのいずれかをチェンジさせてみてください。きっと今までにはない斬新なモデルが生まれるはずです。

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